長野市にある「SDGsなビル」。同じビルの中にある3つの店舗。期せずして、それぞれが環境に配慮した取り組みをしている。

3店舗が同じビルに… すると偶然に「SDGs色が強く」

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長野市役所のすぐ隣にあるビル。1階にはカフェとアウトドアショップ。2階には家具店が入っている。

それぞれ、松本市、長野市、東御市に店を構えていたが、カフェを経営する小島剛さんの呼びかけで、2020年から同じビルで営業している。

North South East West・小島剛店長

North South East West・小島剛店長:
(広すぎて)僕たちのお店だけじゃもったいないと思い、もともと知り合いであった「NATURAL ANCHORS」の戸谷くんと「Ph.D.」の荒井くんに声をかけさせていただいた

NATURAL ANCHORS・戸谷悠さん

全く違う業種だが3店舗には、ある共通点がある。

Ph.D.代表・荒井健次さん

Ph.D.代表・荒井健次さん:
くっついたらSDGs色が強くなった

North South East West・小島剛店長:
たまたまやってる、それぞれ突き詰めていることが(SDGs)に合ってた

偶然にもSDGsに沿った取り組みをする3店舗が集まったのだ。

「はねだしリンゴ」を使ったマフィンでフードロス削減

まず、カフェの「North South East West」。店のおすすめはリンゴのマフィンだ。

使われているリンゴの実は…

North South East West・小島剛店長:
これも「はねだし」なんですけど、蜜がちゃんと入っているので十分使わせていただけます

使っているのは味には問題がないものの、形が悪かったり傷があったりして、廃棄されることの多い「はねだし」だ。
以前はスーパーなどで仕入れていたが、「捨ててしまうのはもったいない」と農家から譲ってもらっている。

North South East West・小島剛店長:
(農家は)商品として形になって変わるってことで驚きと、廃棄されるはずだった果物を使っていただけるということで喜んでいただきました。私たちからするとすごくありがたいことで、(譲ってもらう)機会があるとうれしいです

マフィンが焼き上がった

「はねだしリンゴ」で作ったマフィン。店内に甘い香りが広がった。

客:
いいですね。そういう取り組みがあれば、フードロスとかだいぶ減ると思いますし、もっと広がってくれればいいなって思います

小島さんも、フードロス削減の取り組みがもっと業界に広がって欲しいと話す。

North South East West・小島剛店長:
僕たちが本気になって取り組んでいる。ちょっとした刺激を感じてもらえると思うので、そういった飲食店が増えるとうれしいなって思います

地球環境に配慮した衣料品を販売…山岳の温暖化を身近に感じて

続いては、カフェの隣にあるアウトドア商品のセレクトショップ「NATURAL ANCHORS」。
店主の戸谷悠さんは店を開く前、プロのロッククライマーを目指していた。山では温暖化などの環境問題が身近に感じられたと言う。

NATURAL ANCHORS・戸谷悠さん:
気温もそうですけど、同じ20年前から行っている岩場とかでも、急に昔いなかった虫が出だしたりとか、ささいなことですけど肌で感じるところは多くあります

そこで、扱う商品は資源の節約や化石燃料をなるべく使わないことにつながるものにしている。

NATURAL ANCHORS・戸谷悠さん

NATURAL ANCHORS・戸谷悠さん:
すべてが100%リサイクルのポリエステルだったり、ウールを利用して製品化しているメーカーの商品になります

ポリエスステル衣料をリサイクルしてつくられた服やアンダーウエア。着なくなった服の回収にも取り組む日本のメーカーの商品だ。

NATURAL ANCHORS・戸谷悠さん:
地球環境等に配慮したものづくりであったり、店舗の運営にあたって何かしら関わっていきたいと思います

「捨てられるもの」を再利用…個性的な商品が誕生

ビルの2階にあるのは、アンティーク家具の修復や輸入販売を手掛ける「Ph.D.」。オリジナル商品もあり、個性的なクッションやフットレストが並んでいた。

客:
すごくかわいいと思います。北欧の感じの色っていうかデザインで、すごくかわいいと思います

この商品、実は…

この商品、実は…

Ph.D.代表・荒井健次さん

Ph.D.代表・荒井健次さん:
ごみを使って新しくものづくりした商品になるんですけど

代表の荒井さんは、家具の修理や張替えの際に出る端材を活用できないかと思案してきた。

「ごみ」や「端材」を活用した商品

Ph.D.代表・荒井健次さん:
一個人でも困るほどの端切れがやっぱりある。大きな企業になるとものすごい量のごみだったり、産廃が出てくると思うんですけど、それを発想の転換で、ごみと思わずに一つの財産としてみていただくと、面白い取り組みになるんじゃないかなと思って

制作過程を見せてもらうことになった。

まず「回収」。向かったのは、千曲市のシャツメーカー・フレックスジャパンの工場。

千曲市のフレックスジャパンで端材を袋に詰める

Ph.D.代表・荒井健次さん:
これでなんかできるのかなって思うとわくわくする

荒井さんが袋に詰めているのは、シャツの製造過程で出る端材だ。

フレックスジャパン・櫻井太河さん:
(端材は)どうしても、もう他に使い道もない物になってしまうので、焼却処分にならないってだけでも地域や日本への貢献にもなると思います

この日は大きな袋3つ分を回収した。
続いて向かったのは、東御市のアクリル材を加工する会社。

東御市のアクリルエイトで廃材を回収

Ph.D.代表・荒井健次さん:
用途は何かちょっとわかんないですけど、単純にきれいだなって

コロナ禍で需要が伸びた飛沫防止のパーテーションなどを作っているが、どうしても廃材が出てしまう。

アクリルエイト・中野隼人社長:
(製造過程で)「もったいない」が出てくるので、捨てるのもお金かかりますし、どうにかして捨てないで、何かしら商品展開していければ

まだどのような商品にするかは、決まっていなかったが…

Ph.D.代表・荒井健次さん:
染色したりしながら、これ束ねるだけですごいきれいじゃんって思った

集めた端材・廃材は東御市にあるアトリエに持ち込まれる。

「端材」の山が…

クッションの制作の様子を見せてもらった。

リサイクルウールの布地に、シャツの端切れなどを無造作に散らしていく。

Ph.D.代表・荒井健次さん:
できるだけ、アップサイクルのやってることだったり、ごみっていうものを感じてもらうように

これらを縫合して1枚の生地に。さらに半透明の生地を縫い合わせ、カバーが完成した。
中に入れるのは…

Ph.D.代表・荒井健次さん:
靴下の製造過程で出るような糸くずなんですけど、もともと殺菌消臭効果があって、中材に入れると清潔に長く使える

SDGsなクッションの完成だ。

Ph.D.代表・荒井健次さん:
できるだけ再利用であったり、新しいものづくりに活用しないといけないなって、そういうのを考えてやっていかないといけない時代になっているなと、つくづく思います

同じビルに集まった理念が近い3つの店。

Ph.D.代表・荒井健次さん:
3店舗くっついたら、SDGsじゃんみたいな、意識はしてないけど…

North South East West・小島剛店長:
最初、言えなかったもんね、SDG…

NATURAL ANCHORS・戸谷悠さん:
全然、意味わかんなかった

Ph.D.代表・荒井健次さん:
何の略だか(笑)

環境問題に取り組む商店は、県内でも着実に増えているようだ。

(長野放送)

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