もずくの一大産地にも漂着
軽石の影響で漁業への影響が深刻化している。
国内で生産されているもずくは、99%が沖縄県産だ。もずくの一大産地、うるま市の勝連地域にも10月に軽石が流れ着き、漁師たちが風や潮によって毎日変わる状況に翻弄されている。
この記事の画像(14枚)浜比嘉島周辺の海域のもずくの養殖は、例年10月に陸上のタンクで種付けした網を漁場に張り始めるが、船が出せない状況が続き作業の延期を余儀なくされている。漁協総出で大規模な撤去作業を行うも、次の日には軽石が港に流れ着く…。
勝連漁協 浜支部 上村直人支部長:
きりがないですよ。たぶんこれだと網ですくえない、この細かさでは
10月に浜漁港に流れ着いた軽石と、11月11日に流れ着いたものを比べると、かなり細かくなっていることがわかった。
勝連漁協 浜支部 上村直人支部長:
砂状になってきていますね。本当だとエンジンかけてからのスタートなんですけど、下の方に細かいやつがたまっている。それを吸い上げるとエンジンに支障が出るので…
「無理にでも船を出して…」収穫への影響を危惧
勝連漁協浜支部の上村直人支部長は、もずくの今後の生育や2回目、3回目が控えている種付けのスケジュールに影響が出ることを懸念する。
勝連漁協 浜支部 上村直人支部長:
これはもう(漁場に出す)時期が過ぎちゃってきているんですよね、タンクの。自分もそうなんですけど、早めに海に入れたいんですが…。1週間以上、10日くらい遅れていますね
風向きや潮の流れで変化する軽石の状況を見て、漁師たちはそれぞれの判断で船を出す。
勝連漁協 浜支部 上村直人支部長:
この時期を過ぎちゃうと大変な時期になる。もずくの発育にも影響するので、無理やりでも出て移動したり、設置したり
これから冬にかけて、北風の影響で船が出せない日も出てくることから、軽石でさらに出航を制限されては収穫に影響が出るという危機感がある。
漁協の漁師:
朝港に来てみないと、これができるかわからないので。また沖に出ても…どうなるかわからないです
もずく漁の網の貼り付けや収穫は、漁師たちが海に潜って作業し、船のエンジンを使って空気を送り込む。このため出航できたとしても、軽石が漂っている場合は船が故障する恐れがあるため作業を見送らざるを得ない。
勝連漁協 浜支部 上村直人支部長:
自分で判断して作業はするんですけど、船のエンジンが止まると空気が来なくなるので。それで命の危険が出てきますね
生産量は減少の見込み 漁師総出で除去作業
勝連漁協はすでに、2022年のもずくの生産量は例年よりも「かなり少なくなる」と見込んでいる。
勝連漁協 浜支部 上村直人支部長:
生産量は沖縄で一番だと思うんですけど、これが軽石で出れなくて生産量が減ると、皆さんにご迷惑がかかると思いますし。努力しながらですけど、生産量が減らないように頑張りたいと思っています
11月16日、勝連漁協の漁師たちは船に乗って津堅島に渡り、砂浜に堆積した軽石の除去作業にあたった。潮が満ちて砂浜の軽石が再び海に流れ出れば、漁やもずくの養殖に影響することが懸念されるためだ。
漁協の漁師:
全員集合ですよ。今ほったらかしにすると、また満ちてきたら流れていくので
天候に恵まれたこの日は、本来なら種付けされたもずくの網を海に下ろす作業で忙しいはずだったがが、軽石の影響を最小限にすることが優先と除去作業に汗を流した。
漁協の漁師:
船の循環機に詰まって、エンジンがオーバーヒートする。取れるときに取っておかないと
勝連漁協組合 上原勇行組合長:
勝連組合は9割方、もずくで生活しているのでなくなったら大変。掃除したあともまたやってくるかも…。これが今、一番危惧していること
自分たちの暮らしを守るため、そして、おいしいもずくを消費者に届けたいという思いで漁師たちは奮闘している。
(沖縄テレビ)