10月31日投開票の衆院選で当選した新人議員ら計121人に対し、在職1日にも関わらず10月分の文書通信交通滞在費(文通費)100万円されたことに批判の声があがっている。吉村大阪府知事は13日に自身のツイッターで「1日だけでも国会議員の身分となったので、10月分、100万円の札束、全額支給らしい。これが国会の常識。おかしいよ」と痛烈に批判した。

「第2の給料」文通費とは

文通費とは国会議員一人あたり毎月100万円支払われるもので、使い道は議員活動に必要な書類の印刷代や電話代、郵便代、交通費などだが、領収書の提出は「法規上定められていない」(衆議院事務局)ので、事実上「ブラックボックス」と言える。

国会議員の秘書の一人は「月によるが、うちでは50万円を議員が使い、残りの50万円を秘書が使っている。飲食代などにも使っている。まさに『第2の給料』だと思う」とその実態を明かす。さらに非課税のため「給料というよりお小遣いに近いかもしれない」とも話す。また、支給される額の「100万円」という数字の根拠も曖昧だ。

「これが国会の常識。おかしいよ」と痛烈に批判した吉村大阪府知事
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31日に当選なのになぜ全額100万円支給?

通常、文通費は月の上旬と月末の2回に分けて50万円ずつ支給される。今回再選した議員や引退した元議員には10月分の文通費100万円が月内に支給されている。一方、10月31日に当選した新人議員らには10月分の文通費100万円が11月中旬に一括全額支給された。

「月末の31日は投開票日で、10月は国会議員として実質的な活動をしていないのに、なぜ全額100万円支払う必要があるのか」という疑問が出てくるが、これは公職選挙法の「衆議院の任期は、総選挙の期日から起算する」というルールに基づいている。

つまり、新人議員らは総選挙の投開票が行われた10月31日から「衆議院議員」としての任期がスタートしている。一方で、歳費(国会議員の給料)は日割りで支給される一方で、文通費は日割り計算ができないこととなっている。このため、衆議院としての任期が10月31日から始まっている新人議員らには、日割り計算ができない10月分の文通費の全額100万円満額が支払われることとなる。

使い切れなくても返せない

また文通費を巡っては、「返納できない」ということも大きな課題の一つと言える。ある議員秘書は「100万円も使い切れないことがあるが、返せないので、余った分の繰り越しを続けている」とした上で、「現役国会議員の事務所でも余るのに、新人議員が10月分の100万円を使い切れるわけがない」と指摘する。

そして新人議員が支給された100万円を使い切れず、国庫に返納しようとしても「規定がなく、法律上想定されていない」(衆議院事務局)ために、返納できず100万円の支給を受けたままになる。

在職1日の議員に対して100万円全額が支給されることについて疑問が多く、国民の理解を得るのは難しい。自民党の若手議員からも「文通費自体は必要だが、透明性を持たせることは検討していいいと思う」との声があがっている。

(政治部)