岡山県備前市日生(ひなせ)地区の名物、カキのお好み焼き「カキオコ」のシーズンが到来。旬の味を求めて、店は賑わい始めている。
実は今シーズンは、カキオコを前面に押し出した町おこしを始めて20年の節目の年…。コロナ禍を乗り切りながら奮闘する地元の店を取材した。
関西風でも広島風でもない「日生風」
山盛りの千切りキャベツに、とろとろの生地。その上に乗るのは、水揚げされたばかりのぷりっぷりのカキ、130グラム。

堀律子さん:
今年は最初から身がいいです。色もいい。乳白色で

11月から始まった備前市日生地区のカキの水揚げ。昭和37年創業の地元のお好み焼き店「ほり」では、今年のカキを使ったご当地グルメ、カキオコの提供を始めた。

堀律子さん:
キャベツとカキを蒸し焼きにしている。カキのエキスが、じわっと入っていく。生地とキャベツに

関西風でも広島風でもない「日生風」。唯一無二の味を求めて、平日も開店と同時に多くの客がやってくる。
山口からの客:
カキと合うかなと思っていたけど、合いましたね
岡山市の客:
カキがこんなに入っていると思わなくて。3つくらいと思っていたけど、どっさりだったので感動しました

1人の客の感動がきっかけ「この味を広めたい」
今では全国的に有名となったカキオコ。しかし、元々は地元で親しまれるグルメで日の目を見ることはなかった。

20年ほど前、転機は突然訪れる。
堀さんのご主人:
ここに座って食べた人が「おいしい」と言って、広めたいって。皆を巻き込んで、活動を始めたのがはじまり

たまたま店に来て、カキオコを食べた岡山県職員の男性がその味に感動し、ボランティアでPRを開始。
堀さんら地元のお好み焼き店主らが連携し、2002年1月26日に「日生カキお好み焼き研究会」を結成した。

堀律子さん:
本当に寂しい街で、誰かにきてほしいという思いがあったから、全面的に協力しますと。あの頃、皆が一丸になって一つの目標に向かっていたから、楽しかったですよ
B-1グランプリで全国へ…人気絶やさず
そして、カキオコが全国に知られる決定打となったのが、ご当地グルメの祭典「B-1グランプリ」。

9年前の2012年、「日生カキオコまちづくりの会」は、全国63の団体の中で5位の好成績を収めた。

堀律子さん:
20年でぐっと変わりました。20年前は寂しかったですけどね。それから3~4年たって、どんどん人が来てくださって

20年前に1人の客が味に感動したことで始まった、日生のカキオコブーム。今、その席はゴールデンシートと呼ばれ、一つだけ金色だ。
堀律子さん:
カキオコが20歳になりました。なるべく衰えを見せないように、日生のカキのおいしさをPRしていきたいです
カキオコの味を引き立てる日生のカキは、これから2022年2月頃まで食べ頃が続く。
(岡山放送)