299人が犠牲になった1982年の長崎大水害から、2022年7月で40年となる。
災害の記憶や教訓を後世に伝えたいという思いが、環境を考えるイベントでひとつの形になっていた。

中島川沿いを竹灯籠の灯りがほのかに照らす。
このほど開かれた「長崎エコライフフェスタ」の取り組みの一環。「誰でも、いつでも、簡単に」を合言葉にした、ゼロカーボンシティの取り組みが紹介された。

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見学した子ども:
(ホタルは)あまり見たこと無い

ながさきホタルの会・高田勝行さん:
5月ごろ、西山ダムの上に行ったら(見ることができる)。御手水川では、伊良林小学校が(ホタルを)育てている

会員の1人が毎年、自宅で育てているゲンジボタルの幼虫を展示し、ホタルが舞う環境を作ろうと訴えていたのは「ながさきホタルの会」。

見学した子ども:
エサは何?これタニシ?

ながさきホタルの会・高田勝行さん:
これ、カワニナっていうんです。(幼虫は)自分のサイズにあったエサしか食べないんです

ホタルの会では定期的に川を清掃したり、きれいな川づくりを呼びかけたりする活動に取り組んでいる。

小学校でホタルを飼育し自然を学ぶ

9月、伊良林小学校の傍を流れる中島川で、会長の小川さんが生き物の調査をする子どもたちの指導に当たっていた。

ながさきホタルの会・小川保徳会長:
(4段階の2番目の)少し汚れた水だが、きょうも調査してみて、1番目に属する生物プラナリアがけっこう増えている。経年的には水質は向上している

昭和57年(1982年)7月23日。長崎市を襲った大雨によって、市内各地で土砂災害や河川の氾濫が相次ぎ、299人が犠牲となった。
その後、市内の主な川は河川改修が行われ、護岸や川底はコンクリートで固められた。

少しでも自然を取り戻し、水害で犠牲になった児童や保護者の慰霊のためにホタルを飛ばそうと、伊良林小の子どもたちは長年、ホタルの幼虫を飼育している。

ーー何が獲れた?
女子児童:

カワニナを見つけました。ホタルの幼虫の食べ物

子どもたちは、ホタルの幼虫のエサになるカワニナに興味津々。

女子児童:
本河内の御手水川みたいな所には、ホタルが夜とかになったらいる

伊良林小学校内にはホタルの飼育室がある。ホタル委員会の子どもたちが毎日部屋の空調を確認し、飼育槽をきれいにして幼虫にカワニナを与えている。
ながさきホタルの会は、この取り組みを広げようと1998年に活動を始めた。

ながさきホタルの会・小川保徳会長:
(大水害の時)もう川が壊滅しましたので、どうなるかっていうことで。(水害を)風化させることなく、ホタルを通して慰霊とか自然環境の保全に努めていければなあと思います

放置された竹が慰霊の竹灯籠に

エコライフフェスタが行われた中島川沿いの会場では、オリジナルの灯篭作りを体験できるコーナーが設けられていた。

「へんちくりん」メンバー:
私たち、へんちくりんっていって、環境保全教育研究所というところになる。田手原町っていうところで、色々イベント、自然と遊ぶようなイベントもしてるので

愛称を「へんちくりん」という環境保全教育研究所は、放置された竹林を昔の里山に戻すための活動や、子どもたちの自然体験を手助けするNPO。

山から海までの環境を連続して考えようと活動する「川さるく森川里海塾」など、3団体でこの日に向け準備してきた。
竹を切り出すところから始めて、約180本の竹灯籠を作った。夕方には眼鏡橋一帯の川沿いに竹灯籠を並べていく。

あたりが薄暗くなる頃、一斉に火を灯すとほのかな温かい光が浮かび上がった。

川さるく森川里海塾・兵働馨会長:
諫早では、大水害の後に慰霊の川祭りで灯篭を灯してる。
2022年が(長崎の)水害から40年になるという節目の年でもあるし、何か水害で亡くなった方々の慰霊ができないかという思いがありまして。次のステップへもっていくためのリハーサルができたなと思っています。
(2022年は)是非、亡くなられた299人の方を慰霊する竹灯籠が灯せればなと思っています

全国各地で毎年のように大雨被害が相次いでいる。
長崎大水害で299人もの犠牲者を出した教訓や、人命の尊さを伝え続けたいとの思いが会場に息づいていた。

(テレビ長崎)

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