東日本大震災後初めて、避難先ではなく、福島・大熊町で成人式が行われた。
全町避難から10年。家族とふるさとへの思いを強める、新たな門出となった。

10年ぶりの“ふるさと”で成人式

成人の誓い 成人代表・遠藤瞭さん:
約10年前のあの日。私たちが10歳になる年に発生した東日本大震災震災は、私たちの生活を大きく変えました

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約50人の新成人が参加した福島・大熊町の成人式。2021年10月16日、町内で震災後初めて10年ぶりに行われた。当初は2021年1月に予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大で2回延期になっていた。

ーーいつぶりですか?
新成人:

ここは10年ぶり…あっという間だった。今思えばね

参加した新成人は、10歳の時に東日本大震災と原発事故を経験。全町避難を余儀なくされた。

新成人:
久々に大熊に来れて、故郷なので嬉しいです

新成人:
復興途中で、大熊町はこれからの町という感じだと思うので、何らかの形でずっと関わっていたいなと思います

多くの“思い”がつまった大熊町

新成人の一人、木村舞雪さん。

木村舞雪さん:
楽しみですね。10年ぶりにみんなに会えるので

舞雪さんが住んでいた大熊町の自宅は津波で流され、祖父の王太朗さんと母親の深雪さん、そして当時7歳だった妹の汐凪さんの命が奪われた。

震災後は、父親の紀夫さんと2人で長野県に避難。舞雪さんは、行方不明になっていた汐凪さんの手がかりを探しに町に通い続ける父親の背中を見て育った。

震災から10年半。東京の専門学校を卒業した舞雪さんは、新成人となった。

木村舞雪さん:
(大熊町は)やっぱり大きいですね。家族みんなでいた場所なので。(もし見ててくれたら)お母さんも着物が好きなので、綺麗だなぐらいは言ってくれる(と思う)

これまで支えてくれた父親の紀夫さんには…

木村舞雪さん:
2人だったのでお父さんに言いづらいこともあったりしたんですけど、でもそれでも優しかったので「ありがとう」と思っています

それぞれが故郷と家族への思いを新たにする成人式となった。
大熊町は2022年春に復興拠点の避難指示解除を目指し、2021年内にも準備宿泊を始める予定。

(福島テレビ)

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