懸念される「第6波」…医療提供体制強化へ

衆院選を終え本格始動した岸田政権にとって、引き続き重要課題となるのが「新型コロナウイルス対策」だ。この夏に猛威を振るった感染拡大の「第5波」では、病床や医師、看護師が足りず、自宅療養中に亡くなる人が相次ぐ事態となった。新型コロナに感染した妊婦が入院先が見つからないまま自宅で早産し、赤ちゃんが亡くなるという事案まで起きた。

今後、冬場や人の移動が増える年末年始を控えて、懸念されているのが「第6波」の感染拡大で、こうした事態を繰り返さないために、医療提供体制の強化が不可欠となっている。

人の移動が増える年末年始を控えて「第6波」が懸念されている
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「最悪の事態を想定」一般医療への影響も課題

「第6波」対策について、岸田首相は、10月15日の新型コロナウイルス対策本部で、「予防、発見から早期治療までの流れをさらに強化するとともに、最悪の事態を想定して、次の感染拡大に備える」と述べた。

最悪の事態とは・・・。

新型コロナのウイルスは変異を繰り返し、さらに感染力が強くなる恐れがある。

「第6波」対策の骨格では、例えば、「ウイルスの感染力が3倍になるなどの感染拡大が生じた場合には、強い行動制限を機動的に国民に求める」としているほか、「実際には患者を受け入れていない『幽霊病床』の実態を把握し、感染拡大時のコロナ用の病床の使用率について、少なくとも8割を確保する」ことも盛り込んだ。

ただ、新型コロナ患者の病床確保を進めると、その分、一般医療への影響は避けられないという課題は残る。

感染拡大を抑えることが医療逼迫を防ぐことにつながるのは言うまでもないが、そもそも今回の “感染者急減”の理由は、明確には分かっていない。

新型コロナウイルス対策本部での岸田首相(10月15日)

急減の理由はワクチン?感染対策強化?

新型コロナ対策を担当する山際経済再生担当大臣は、衆院選を終えた11月2日の閣議後会見で、新規感染者数が減少した理由について、「これまでも政府側から様々な要因があるという説明をしている。その分析を含めて、これから何をするかということまで含めた対策の全体像を示す」と述べた。

新型コロナ対策を担当する山際経済再生担当相

様々な要因とは何か?

政府分科会の尾身会長は、9月28日、緊急事態宣言の解除が決まった際の記者会見で、感染急減の理由として「一般市民の感染対策強化」「人流、特に夜間滞留人口の減少」「ワクチン接種率の向上」「医療機関・高齢者施設での感染者数の減少」「気象の要因」の5点を挙げた。

ただし、「それぞれの寄与度については更なる検討が必要」としている。何が感染急減に最も貢献したのか。

ワクチンなのか?人々の感染対策強化なのか?

「第6波」対策において、その分析は不可欠であり急務となっている。

「2回目接種」7割超え「3回目接種」へ

そうした中、2回目のワクチン接種率は全人口の7割を超え、65歳以上の高齢者では9割を超えた。

海外では高い接種率にもかかわらず、感染が再拡大しているケースが起きている。国内でも2回のワクチン接種完了後に感染する「ブレイクスルー感染」は、各地で報告されていて、感染対策の継続に加えて、3回目接種により「第6波」に備える必要がありそうだ。

3回目接種は、2回接種を終えた全ての人を対象にする方針で、2回目を終えてから「8カ月以上後」を目安に行われる。

政府は12月に医療従事者から順次、3回目接種を開始する方針だ。ワクチンの効果はどれくらい続くのか?3回目接種はどのワクチンを使うのか?ワクチンに関する議論も詰めの調整を急ぐ必要がある。

12月に3回目接種を医療従事者から順次開始する方針

「ワクチン・検査パッケージ」急ピッチで進む経済再開

一方、経済を再開する動きは急ピッチで広がっている。

緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を解除した27都道府県で、経過措置として続けられていた上限1万人とした大規模イベントの人数制限は11月から解除。「上限5000人または収容定員の50%以内のいずれか多い方」となり、収容定員が5万人の場合は上限2万5000人と、1万人から一気に増えた。

また、再び緊急事態宣言を再発令する事態になっても、飲食店やイベントなどで制限が緩和されるよう、ワクチン接種済証か検査の陰性証明を求める「ワクチン・検査パッケージ」の実証実験が各地で行われている。

経済再開に伴い、感染が再拡大することは何としても抑える必要がある。「第6波」への対策を固めながら、社会経済活動の再開につなげられるか。岸田新政権の手腕が問われている。

(執筆:フジテレビ経済部 コロナ対策担当 土門健太郎)

土門 健太郎
土門 健太郎

フジテレビ報道局経済部 記者

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