強行日程で出席した岸田首相

衆院選の投開票日となった、10月31日。地球温暖化を話し合う国連の会議、COP26がイギリス・グラスゴーで開幕した。

COP26には約110の国と地域の首脳が参加し、岸田首相も開幕から2日後の11月2日にはイギリスに向け日本を出発した。衆院選投開票直後で現地滞在も半日程度の強行日程となったが、欠席すれば日本の存在感が薄れることは避けられないため、なんとしてでも参加する必要があったのだ。

首脳級会合で、岸田首相は通常の石炭火力発電より温室効果ガスの排出削減が望めるアンモニアや水素を活用する技術の推進などを強調。石炭火力からの脱却に舵を切るヨーロッパ諸国に対し、日本の技術を活かした取り組みで理解を求めた。

COP26ではアンモニアや水素の活用を強調したが…
この記事の画像(6枚)

連続受賞となった「化石賞」

しかし、この演説が一因となり、地球温暖化対策に後ろ向きな国におくられる「化石賞」に日本が選ばれた。引き続き化石燃料に頼る見通しであることや、石炭火力発電の廃止などに言及しなかったことが批判をあびた。さらに、温室効果ガスの排出を抑制できるとするアンモニアや水素の活用についても、未熟でコストがかかる技術だと指摘された。

日本は、前回のCOP25でも「化石賞」に選ばれていて連続しての不名誉な受賞となった。

さらに、日本政府は温室効果ガスの排出削減対策がとられていない石炭火力発電所の廃止を盛り込んだ議長国・イギリスが主導する声明への署名を見送った。依存度引き下げを目指すにとどまり、石炭火力を使い続ける方針の日本に海外からの逆風は強まっている。

足元では、原油やLNG=液化天然ガスなどの価格が高騰し、電力需給がひっ迫する可能性が指摘されていて脱炭素と安定供給の両立が可能なのか不安も残る。

LNGなどの価格高騰が脱炭素と安定供給の両立をさらに難しくしている

閣僚会合初日に環境相が出席できない日本

こうした中、9日からはCOP26の閣僚級の会合が始まる。もちろん環境大臣の出席は必要不可欠と言えるが山口環境相の出席はいまだ明確には決まっていない。山口環境相は「国会など諸般の事情が許せば行かせていただきたい」と度々発言するなど前向きな姿勢を示しているものの、初日には間に合わないことが決定していて、すでに出遅れているのが現状だ。

10日の特別国会で首相指名選挙があり、その後、組閣、認証式などが続き、国会の了承が得られた場合でも、山口環境相の出発は11日になると見込まれ、閣僚級会合の2日間ほど不在になる見通しだ。

すでに閣僚が現地入りしている国はアピールを始める中、閣僚不在では政治レベルの交渉は難しいことから、日本の発言力が弱まるおそれもある。

山口環境大臣はCOP26閣僚級会合の初日に間に合わず

野心的目標を掲げたエネルギー基本計画

COP26の開催を前に閣議決定した「第6次エネルギー基本計画」では再生可能エネルギーをこれまでの22~24%からおよそ2倍となる36~38%にまで高め、「最大限の導入に取り組む」と明記されている。

また、原子力は20%~22%と、これまでの計画と同じ水準を維持する一方、発電量のおよそ6割を、太陽光などの再生可能エネルギーや原発など「脱炭素電源」でまかなうことになっている。二酸化炭素を排出する火力は56%~40%程度にまで大幅に削減するとした。

再生エネルギーを主力電源としてエネルギー確保の大黒柱にする計画だが、太陽光パネルなどを設置する適地が限られるなか、再生エネを有効活用するのに必要な蓄電池の普及や、消費地に電気を送る送電網の整備などを、どのように進めていくのか。再生エネは天候により大きく発電量が左右されるため、バックアップ電源として火力発電などをどう位置付けるかも考えていく必要がある。

野心的な計画をつくったのはいいが、国内での課題は山積している。

太陽光パネル設置の適地不足など課題は山積みだ

問われる日本の存在感

12日に閉幕を予定するCOP26の日程は、残り少なくなってきた。

世界の平均気温の上昇を産業革命前から1.5度に抑えるというパリ協定の努力目標に向けての実効的な対策をめぐる協議は大詰めを迎える。途上国の排出削減で、先進国がさらなる資金支援に応じるかどうかの合意形成や、他国に技術支援を行って排出量を削減した場合、減らせた分を自国の削減分にカウントできるようにする削減量取引の具体的ルール作りも焦点だ。

各国間の対立を乗り越えた協調を実現し、どこまで踏みこんだ内容を打ち出せるかが会議の成否を決めるなか、2050年にカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げた日本の存在感が問われている。

(フジテレビ経済部 環境省担当 井上文那)

COP26の協議が大詰めを迎える中、日本の存在感が問われている