いま、私たちの生活に影響を及ぼしている「ミートショック」。輸入牛肉に続き、クリスマスにかかせない鶏肉にまで影響がでています。この価格高騰いつまで続くのでしょうか?
めざまし8ではなぜ、ここまで「ミートショック」が続いているのか、その要因を探りました。

吉野家で値上げ&牛タン店も悲鳴

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40代会社員:
これ以上値上がりすると、ちょっと嫌かなとは。
まあでも、高いよね。

20代大学生:
まあちょっと痛いっす、痛いのは痛いですね。

街の中で聞こえた悲痛な叫び。そのワケは、大手牛丼チェーン・吉野家の値上げ。

先月29日、牛丼並盛りは、税込みで387円か39円値上げで、426円に値上げされました。嘆いているは牛丼愛好家だけではありません。

牛タン炭火焼 わすけ 高橋浩一店主:
値段的にはアメリカ産が一番値上がりしています。迷ってはいるんですけどもやっぱり簡単に値段を上げるわけにはいかないので、今のところ耐えているという状況かな。

牛タン専門店からも悲鳴な叫びが。さらに、異変は鶏肉にも及んでいます。

唐揚げ弁当タオ 西村昌晃店長:
夏前から2回値上がりして(仕入れ価格)、30%増しぐらいな状態になっちゃいましたね。昔からウチはコスパで売ってる所もあるので、なかなか価格を上げる事はできない状態ですね。

都内の唐揚げ弁当店では仕入れ価格が、8月上旬と比べて1キロあたり100円上昇。毎日の食費に直結するスーパーにもミートショックの影が広がっています。

アキダイ 秋葉弘道社長:
これもうあと一個しか無いんですけれども、ストックが冷蔵庫にも無い状態で…

スーパーの肉売り場からは、輸入の鶏肉が消えそうになっていました。

アキダイ 秋葉弘道社長:
クリスマスに需要が拡大する、骨付きのチキン。これも夏の間に予約したんですけど、入荷ゼロ。見込みがないとの事で産地変更を余儀なくされた。

いま、日本で“ミートショック”が起きている理由。それは「食肉加工工場の停止」「世界的天候不順」にあるといいます。中国の“爆買い”“爆食い”の余波が私たちの食卓を直撃しているというのです。

「ミートショック」の原因は“爆買い”に“コロナ禍”の影響も

実際にどのぐらい価格が上昇しているのか、焼き肉などに幅広く使われているバラ肉の卸売価格を見ていくと、昨年7月は617円だったものが、今年9月には1093円まで上昇。約1年で1.8倍ほどになっていることがわかります。

さらに、国別の牛肉輸入量ランキングを見ると2014年には2位だった中国が、今年は2位アメリカにダブルスコアをつけ圧倒的1位に。中国の牛肉消費量も、ここ5年で2.3倍に急増しています。長年、中国の食肉の主流は牛ではなく豚でしたが、ある理由から、牛肉が主流になりつつあるといいます。その理由とは…

のれんには「日式焼肉」の文字。
壁に貼り出されたメニューには「牛タン」と書かれ装いも日本風です。

いま、中国では、テーブルに置かれた七輪などで客が肉を焼く「日本式焼き肉」がブームになっているといいます。1年間で約1000店舗増加し、現在は5000店舗にものぼります。

なぜ、ここまで日本式焼き肉がブームになっているのか、中国の社会情勢に詳しいジャーナリストの中島恵さんによると、2014年ごろから始まった“爆買い”の際に「焼肉」を知り、日本の食文化を中国に持ち帰った際に広がった面があるといいます。

さらに、輸入牛肉の高騰の背景には他の要因も。資源・食料問題研究所の柴田明夫代表によると、アメリカでコロナ禍の影響により生産難が続いていたり、オーストラリアにおいても、おととしの干ばつの影響により頭数を増やすため出荷を減少させているといいます。

そのため、世界で牛肉を取り合っている状態が続き、「ミートショック」が起こっているというのです。こうした肉の値上げは牛肉だけではありません。

これからの季節に欠かせない鶏肉にもミートショックの影響が。1キロあたりの冷凍の輸入価格は、今年1月と比べて8月は1.2倍に。

こうした鶏肉高騰の要因は大きく2つあるといいます。

ひとつは、鶏肉のタイからの輸入がおよそ3割減っていること。日本は、鶏肉の輸入量のうち、およそ6割をタイに頼っています。さらに、飼料の高騰により価格が高騰している状況も背景にあります。

こうした肉の価格の上昇はいつまで続くのでしょうか。第一生命経済研究所首席エコノミスト・永濱利廣さんによれば、「年末の需要拡大に合わせて値上がりする」「特にクリスマスに需要が高まる鶏肉の上がり幅が大きい」と指摘していて、今後も私たちの生活に影響を及ぼしそうです。

(めざまし8 11月3日放送)