たくさんの種類がある菓子には見た目が華やかだったり可愛らしいものが多い。そんな中で今、あまりのリアルさに「食べにくい…」と注目される菓子が登場した。

伊丹市昆虫館(兵庫県)の奥山清市館長がTwitterアカウント(@soku26)に投稿したのだが、そのインパクトがすごいのだ。

リアルでインパクトある菓子 
リアルでインパクトある菓子 
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ケースの中に見えるのは、ツヤツヤの表面にシワのよった体。小さな耳と目とは対照的に大きく飛び出した出っ歯が特徴的な生き物の姿。こちらはなんと、ハダカデバネズミを模したスイートポテトで実際に販売されているのだ。

奥山館長は、アクアリウムとアートが融合した都市型水族館「神戸ポートミュージアム átoa(アトア)」の内覧会で、このスイートポテトを目にしたのだそう。

新しくオープンする神戸ポートミュージアム"átoa(アトア)"の内覧会に行ってきました。色々面白かったですが、最も刺さったのはショップで売っていたハダカデバネズミのスィートポテト!このクオリティ凄すぎる!

スイートポテトのケースの右下には「プラスチックナイフを同梱しておりますので、お好みの大きさにカットしてお召し上がりください」とのコメントも書かれているが、あまりのリアルさに食べることも切ることもためらってしまいそうだ。

「カットしてお召し上がりください」とのこと 
「カットしてお召し上がりください」とのこと 

Twitterでも「一口目が勇気いる」「永久保存したい可愛さ」「コレは食べられない」といった衝撃を受けているコメントが寄せられている。

洋菓子激戦区で戦うためにインパクトを!

確かにインパクトある見た目で注目を集める菓子となっているが、キモかわいいと言われるハダカデバネズミをなぜスイートポテトにしようと思ったのか?

átoaミュージアムショップ担当の新谷正代さんに話を聞いた。

ーーなぜハダカデバネズミのスイートポテトが生まれたの?

洋菓子激戦区の神戸にあって、近くの百貨店や洋菓子店では特徴ある美味しくて可愛いお菓子がたくさんあります。ミュージアムショップでお客様がどんな商品であれば、興味を持って手に取っていただけるか考えておりました。

スイートポテトで何か商品開発できないかと考えており、(ミュージアムで)ハダカデバネズミを飼育すると聞いて、世の中にハダカデバネズミのお菓子商品が少ないのではないか、何かインパクトのあるお菓子を作れないかと思い、今回のキモカワ商品の開発の運びとなりました。

インパクトある菓子として誕生 提供:AQUARUMU×ART átoa
インパクトある菓子として誕生 提供:AQUARUMU×ART átoa

ーーそもそもハダカデバネズミって、どんな動物?

ハダカデバネズミは「女王」を頂点として、地中で社会集団生活を営みます。女王の他に、王、兵隊、布団係、雑用係と役割分担があります。体毛のない体と出っ歯が特徴的です。

大きく飛び出た歯はトンネルを掘り、餌を探すときに大活躍します。ガンや老化に耐性があり、平均寿命は約30年と一般の小さなネズミの10倍程度です。生存期間の8割は老化の兆候を示さず、痛みや低酸素状態への耐性もあるといわれます。17種類の鳴き声を状況に応じて使い分け、仲間とコミュニケーションをとります。

実際のハダカデバネズミ 提供:AQUARUMU×ART átoa
実際のハダカデバネズミ 提供:AQUARUMU×ART átoa

ーースイートポテトは大きさなども再現しているの?

実際のハダカデバネズミはとても小さいです。型に入れて形成するため、どこまで再現できたかは微妙ですが、飛び出た歯やしわを再現しました。

箱にもリアルなハダカデバネズミのイラストが描かれている 提供:AQUARUMU×ART átoa
箱にもリアルなハダカデバネズミのイラストが描かれている 提供:AQUARUMU×ART átoa

飼育員監修でフォルムとしわを再現

ーーこだわった部分を教えて。

特徴である大きく飛び出た歯と耳。生物のフォルムとしわです。ハダカデバネズミの薄く柔らかな皮膚を表現できるよう、背骨側の皮膚の張りと、お腹側の皮膚の寄り方にこだわりました。


ーー開発ではどのような点に苦労した?

しわを入れすぎると割れてしますので、程よいしわにとどめました。造形物として飼育員監修しております。ただし、型抜きするので細部の表現は難しかったです。美大出身のショップスタッフが原型を制作したのですが、ハダカデバネズミの形を再現しつつ、輸送への耐久性や食べ応えにもこだわった結果、完成するまでに原型を5個作り直したそうです。

箱と向き合うハダカデバネズミスイートポテト 提供:AQUARUMU×ART átoa
箱と向き合うハダカデバネズミスイートポテト 提供:AQUARUMU×ART átoa

ーースイートポテトだが、どういった食感や味になっているの?

とても滑らかでクリーミー、上品な甘さですが食べ応えがあります。


ーー出来栄えの感想を教えて。

とてもインパクトある商品になったと思います。パッケージや解説も飼育員監修しておりますので、オススメできる商品となっております。


ーーどういった声が届いている?

リアルすぎるとお褒めをいただいております。切り分けて食べるのは抵抗がある。とのご意見もありますが、家族や友人とのコミュニケーションツールになれば幸いです。

販売ブースの様子 提供:AQUARUMU×ART átoa
販売ブースの様子 提供:AQUARUMU×ART átoa

ハダカデバネズミスイートポテトは、ミュージアムのオープン日(10月29日)のショップ売り上げ個数で1位を獲得する人気商品となったそう。

とても柔らかくデリケートな商品のため、オンラインショップでの販売はなく店舗のみとなり、1700円(税込み)で購入できる。

なお、本物のハダカデバネズミは神戸ポートミュージアムátoaの2階で、7匹を飼育している。実際のハダカデバネズミを見た後にスイートポテトと見比べてみると、よりすごさがわかるかもしれない。 

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。