日本酒離れにコロナが追い打ちをかける中で、飲み口は伝統の辛口を捨てフルーティーに。
世界の舞台に挑む。 

輝く雫とともに、芳醇な香りが広がる日本酒。しかし…

國暉酒造・岩橋弘樹社長:
今まで辛口で押してきていたけど、まずは新シリーズを一押しして、集中して販売していく

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近年進む日本酒離れが、新たな挑戦へと老舗酒造を動かした。
松江市にある國暉酒造。明治7年創業の老舗の酒蔵だ。長年多くの人に親しまれてきたのは、伝統的な「辛口」の日本酒。
しかし…

國暉酒造・岩橋弘樹社長:
全体に売り上げが微減していたが、コロナの影響でかなり売り上げの減少があって、このままでは生き残れないというのがあった

國暉酒造の売り上げは、ピーク時の昭和40年代後半に約40万本だった製造本数が、コロナ禍前の令和元年に10分の1にまで激減。コロナ禍で飲食店向けなどの注文減が追い打ちとなり、危機的状況になったという。

國暉酒造・岩橋弘樹社長:
いろいろなことを考え直すチャンス、時間ができた

この状況に風穴をあけるため…

國暉酒造・岩橋弘樹社長:
“帯シリーズ”という新シリーズを販売。

「國暉 西陣織 帯シリーズ」、新たな日本酒シリーズを生み出した。

特徴は見た目。
紙やプラスチックのラベルではなく、糸で編んだラベル。国の伝統的工芸品に指定されている京都の「西陣織」のラベルだ。紡がれた糸による立体的な図柄は、紙では表せない質感。西陣織の着物の帯をイメージしたという。

飲み口も一新…伝統の“辛口”からフルーティーに

さらに…

國暉酒造・岩橋弘樹社長:
(紫ラベルは)香りはどちらかというと柑橘系の香りで、さわやかな印象

酒の原料となる酵母の種類や発酵の仕方を変え、フルーティーさを出した。これまでこだわってきた辛口とは真逆の、飲みやすい日本酒を目指したとしている。

坂西 美香アナウンサー:
飲んだ瞬間、フルーティーな香りがする。飲み口はとてもすっきり。國暉さんのこれまでの日本酒とはガラッと雰囲気が変わりますね

シリーズ全5種類は、9月1日から販売。

すると、SNSでの発信に対し、ヨーロッパなどから数千本の発注が入り、国内をあわせ、すでに1,000本以上の売り上げを記録した。

國暉酒造は、日本らしさを表現した見た目が世界から評価されているとみている。

そして経営判断として、長く作り続けてきた辛口の日本酒の製造をすべて休止。

商品は、西陣織帯シリーズと、何年もかけて再仕込を繰り返す独自製法の日本酒、褐色の「八塩折」の2つのラインナップに絞るという決断をした。

國暉酒造・岩橋弘樹社長:
新シリーズはまだ進化の過程。商品も企業体質も、これからもっともっと進化していこうと思う

大量注文を受けて、世界を視野に入れた展開は、今のところ功を奏しているといえる。新シリーズに老舗の存続をかけた戦いは始まったばかりだ。

(TSKさんいん中央レレビ)