70年ぶりの大規模修理工事が進む、宮島のシンボル厳島神社の「大鳥居」。
工事用のネットに覆われてから2年3か月。
いまも続く大規模修理現場で、熟練の職人たちが修理を続けている。

工事用のネットに覆われる、宮島のシンボル厳島神社の「大鳥居」
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厳島神社の大鳥居の柱は、海底に刺さっているわけではなく、東西に置かれた楠の主柱2本と、その前後に4本配置された杉の袖柱のあわせて6本の柱が浅瀬に置かれ、その重みで動かない構造になっている。

厳島神社の大鳥居の柱

海中の大鳥居支える4トンの重し…「鎮石」洗い清め

2021年8月には、大鳥居を支えていた重しである「鎮石(しずめいし)」約4トンを取り出し、1つ1つ丁寧に洗う、洗い清め行事が行われた。
9月に、その石は再び大鳥居の屋根の下にある箱状の「島木(しまぎ)」の中に収められた。

木村仁美アナウンサー:
きょうは屋根や主柱を中心に作業が行われているということですが、どのくらい進んでいるのか。取材させていただきます

階段を登ると、太い柱を前にローラーを使って手作業で何かを塗る職人の姿が。

厳島神社・原島誠技師:
耐震補強、地震に強いように炭素繊維を用いて補強する作業。黒いのが炭素繊維で、塗っているのはそれを定着させるための樹脂、接着剤

縦に8層貼るうち、現在は6層目。
このあと、横にも層を重ねることから、2~3か月かけて作業するという。

厳島神社・原島誠技師:
今回が初めての試みで、文化財の修理でもこれだけ大がかりに炭素繊維で補強するのは、おそらく初めてではないか

厳島神社・原島誠技師(左)の説明を聞く木村仁美アナウンサー

一方、こちらは反対側にある西の主柱。

木村仁美アナウンサー:
こちらは朱色に塗られているんですね

厳島神社・原島誠技師:
炭素繊維を貼り終えて、あのままだと真っ黒に見えますので、表面を朱くするということ

しかし、その表面をよく見ると何やらデコボコとしている。

厳島神社・原島誠技師:
楠の表面の感じを出すために、クシビキというのをやっている。
(Q.わざとあとをつけている?)
そうですね。遠目から見て、違和感がないように。やっぱり、やる職人さんのセンスが問われるところですね

そして同じころ屋根の上では、4人の職人が横に並び、黙々と「檜」の皮でできた新たな屋根を葺き替えていた。

木村仁美アナウンサー:
1枚の皮が扇状なのは自然のものだから?

職人:
いや違いますよ、あえてです。真四角のものを使うと、後ろの方で融通が利かなくなる。扇状にして並べた方が並べやすい、調整しやすい

「竹の釘」口の中に30本入れ…熟練技で効率良く

ここでも、職人の技が生かされているという。

口に入れていたのは…竹製の釘。
手に取ると一定のリズムで、素早く屋根に打ち付けていく。

口の中には竹製の釘

優美な曲線や重厚感を出すことができ、重要文化財などで多くみられる「檜皮葺」。

木村仁美アナウンサー:
近くでみると、皮の重なり方の角度が少しずつ違う。これを感覚で仕上げるのは本当にすごい技ですよね

一方、こちらの部屋には「厳島神社」や「伊都岐島(いつきしま)神社」と書かれた重さ200kgある額。
銅製の金具を洗って、金箔を貼るほか、木の破損や隙間がないかを確認するという。

重さ200kgある額

全体の工事完了時期は未定で、2022年も作業は続く。

木村仁美アナウンサー:
あらためて模型で説明します。大鳥居は6本の柱で立っている。海底に埋まっているわけではなく、ただ置かれているだけ。この「島木(しまぎ)」という部分に、先日おさめた「鎮石(しずめいし)」が入っていて、この重みで支えられている。

木村仁美アナウンサー:
今回は、1番上の屋根の部分、葺き替えの作業を見せていただいたんですが、本当に県外から集められた職人の皆さんのスピード感がすごかった。
プロの皆さんが集められていて、「竹の釘」を効率よく作業を進めるために口の中に入れますが、尖った釘をなんと一度に30本ほど入れられます。口の中に釘を入れても慣れると痛くないとおっしゃっていた。
釘の向きも口の中で調節して、打ちやすい向きで口の中から取り出しているということです

木村仁美アナウンサー:
そして、竹の釘も現在作っているところは全国で1か所しかなく、とても貴重なもの。材料も含めてたくさんの人が関わって修復が進められていて、本当にチームでやっているんだなということを強く感じました

(テレビ新広島)