岩手・紫波町にある、田んぼに囲まれた一軒家。
その家に移住し、築50年ほどの家を改装しながら暮らしている男性がいた。

岩手山の頂上に南部鉄瓶、胸に大きく描かれたホヤ。

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この岩手愛あふれるオリジナルTシャツを制作している吉田つとむさん(52)は、自らが代表を務める「マルツ工房」のグラフィックデザイナー。手がけた商品は店舗やイベントなどで販売され、人気を集めている。

岩手・盛岡市出身の吉田さんは、7年前、紫波町に移住してきた。

吉田つとむさん:
とにかく理想の生活を手に入れちゃったなっていう感じで

収穫の秋を迎えた田んぼに囲まれた一軒家、築50年ほどのこの家を、吉田さんは自分で改装しながら暮らしている。

吉田つとむさん:
お金をかけなくても、古いもので楽しく生きれるよ!というのを伝えたいというのはあります

古いもので楽しく生きる。
家にあるものは、ほとんどが使われなくなって安く譲り受けたものばかりだ。
ダイニングの家具や照明もバラバラに集めたものだが、年代を合わせたり、アンティーク風に加工したりしてセンス良く配置している。

吉田つとむさん:
空き家問題があると思うんですけど、壊す家がいっぱいあって、そこにある家具全部燃やしちゃうんですよね。それが我慢できなくて、そういう家に行っては「ちょうだい」みたいな感じで

この日は、物置小屋に扉を付ける作業をした。

吉田つとむさん:
これは、家の解体現場でもらってきた雨戸、捨てるもの

休日を使って、コツコツと家を改装してきた吉田さん。
慣れた手つきで工具を扱い、寸法を手際よく測って扉をとりつける。

こうした暮らしをするきっかけになったのは、20代から続けてきた海外への旅だった。出会った人々の暮らしに大きな刺激を受けたという。

吉田つとむさん:
給料が日本よりかは少ない国でも、すげえめちゃくちゃセンスよくやってる国がいっぱいあったんですよ。拾ってきたような鉄くずを溶接したりとか、木をくりぬいて電球刺しただけのスタンドがかっこよかったりとか

果物や野菜も自分で育てている吉田さんは、庭でブルーベリーやミョウガなど、20種類ほどを無農薬で栽培している。

吉田つとむさん:
毎日畑に行って、色んなことを手間かけてやらなきゃいけないんですけど、こんだけ広いとやることばっかりで大変

そんな吉田さんには、頼りにしている人生の先輩がいる。
困ったときにはアドバイスをもらいに出向く。

吉田つとむさん:
鉄瓶なんですけど、中が錆びているので、漆を塗って使えるかなと思って

星耕茶寮 店主 佐藤幸吉さん:
うん、いいよ

花巻市大迫町で、30年ほど前から飲食店(星耕茶寮)を営む佐藤幸吉さん(75)。
店を構えたのは築100年以上たつ南部曲がり家で、少しずつ改装を重ねてきた。佐藤さんも古いものが大好きで、なんでも自分で修理してしまう。

今回、吉田さんが依頼した南部鉄瓶への漆の塗り直しもお手のもの。

星耕茶寮 店主 佐藤幸吉さん:
塗ってるんだけども、漆と鉄を化学反応起こさせるんです。僕らは年もとってるから、どんどん知ってることは教えないと残らないからね。つとむさんはすごい勉強家

佐藤さんのほかにも、吉田さんの周りには薪を分けてくれる人や、大工の友人もいて、古民家暮らしを支えてくれているという。

仲間の助けも得ながら改装してきた自宅で今一番のお気に入りは、ウッドデッキのある空間。この場所で、自分で豆を挽いていれたコーヒーを飲むのが至福の時だという。

吉田つとむさん:
とにかく入ってくる情報が多すぎるから、なんか無になる時間があった方がいいですよね

次から次に新しいものが生まれては消費される現代だからこそ、古いものや人とのつながりを大切にすることで豊かさを実感できると吉田さんは考えている。

吉田つとむさん:
知識が増えれば増えるほど、インターネットではなくて、体を使って覚えれば覚えるほど、ますますデカくなってるって感じはありますね

(岩手めんこいテレビ)

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