池に黒く浮かぶのは「原油」です。
新潟市の一部の地区で「原油」が異常に湧き出る現象が続いています。
この地区で何が起きているのか、めざまし8は現場を取材しました。
「原油」で池の水面が“真っ黒” 現地では何が?
この記事の画像(12枚)池の水面が“真っ黒”
新潟市秋葉区の山間にポツンとあるため池。
そのおよそ半分にまで広がるのは真っ黒な水面。
さらに、2021年4月に撮影された写真では、池の一部分が真っ黒になっています。
今月6日に撮影された写真では、分離された黒い水面がよく見るとキラキラと光っています。
この黒い液体の正体は「石油」です。
池のいたるところでみられたのは、原油の影響でマーブル模様が広がる水面。
今年4月には一部分が真っ黒でしたが、現在はどのくらい広がっているのでしょうか。
許可を得て、ドローンで上空から撮影しました。
池の半分近くまで広がる、真っ黒な原油。
原油がないように見える水面も。
虹色に反射するなど、池全体に原油が広がっていることが分かります。
この原油は表面だけなのでしょうか。水中の撮影も試みると、水面からおよそ15センチ下の位置にカメラを入れましたが、原油に遮られ、前方は何も見えませんでした。
さらに、カメラを引き上げてみると原油が大量に付着。
カメラからボトボトと滴り落ちていました。
なぜこんなことになっているのでしょうか。
新潟市秋葉区役所建設課・阿部雅之課長:
こちらの方の池については、周辺の山からと思われる油分が出てきて、表面にたまっているというふうに状況としては観察しています。
そこで、めざまし8のディレクターも実際に池の周辺を調べてみると、
めざまし8ディレクター:
(実際に触って)油ですね。ギトギトしている。
自転車のチェーンを触った時の感覚に似ている。
東村里恵子新潟市議:
これ以上、もし増えてあふれ出てしまった時に、下流に影響が出てしまうことが考えられるので、そうすると市民の皆さんの安全を確保できなくなってしまう。
今の段階で食い止めなければいけないということで対策を施すということ。
いま対策をとる必要性を訴えました。
頭を悩ませているこの「原油」が、実は、この地域の繁栄に繋がっていた過去があります。
かつては油田で繁栄…いまは“庭から原油湧出”で住民悲鳴
かつて「新津油田」という油田があったこの地域。
明治時代から大正時代にかけて100以上の業者などが操業していました。
1917年(大正6)には、年間およそ12万キロリットルという日本一の産出量を記録。
その後は減少し、1996年に採掘を終えていました。
地域の繁栄を支えた原油。
しかし、最近では予期せぬ場所から湧き出す現象に、悩まされ続けてきました。
これは、2013年に、同じ秋葉区にある住宅の庭で撮影された映像。
ボコッボコッという不気味な音と共に原油が地中から湧き出ています。
その後、湧き出た原油がまるで川のように流れ出しているのが分かります。
一時はおよそ2メートルの高さにまで石油の柱が噴き上がったといい、その跡が壁に鮮明に残っていました。
こうした住民を悩ます現象は、いまもあるといいます。
別の住宅を取材すると…
住民男性:
油と水が一緒に出ているんですよ。
今白いですけど、ほらほら出てきた。
めざまし8ディレクター:
あ、なんか黒いのが!
住民男性:
ほらほら。
めざまし8ディレクター:
これが油?
住民男性:
そう、ほらほら。
こうした事態を受け、現在対策として、水と油を分ける「分離槽」が設置されています。
さらに、池から少し離れた川でも、湧き出た原油が広がらないようにせき止める仕切りが設置されていました。
新潟市は2018年度から、毎年約1600万円から2000万円の予算を計上し、油を回収・処分してきました。ところが、今年は原油の湧出が多いため、緊急の対策費として2000万円を追加する補正予算案を提出しています。
では、湧き出ている原油を何かに利用することはできないのでしょうか。
新潟市秋葉区役所建設課・阿部雅之課長:
成分などについても確認しているんですけども、油としてはですね、
品質が悪いということで(火が)つかない状況です。
再利用については、なかなか懸念材料というかハードルが高そうだなというふうに現時点では見ております。
この原油の湧出の原因については、地殻変動によるもの、過去に石油を取るための採掘が影響している可能性もあるとみられていますが、明確にその理由は特定されず現在も調査中です。付近の住民にとっては心配な日々が続きます。
(めざまし8・9月28日放送)