9月26日まで時短要請が続いていた愛媛・松山市の飲食店。繁華街ににぎわいは戻っていない。
そんな中、時短要請の対象にならず、協力金も支給されないテイクアウト専門店は、さらに苦境に立たされている。
テイクアウト専門店は「時短の対象外」
松山市二番町のたこ焼き店「たこ善」。創業15年、木戸明美さんと息子の勇輝さんの2人で店を切り盛りしている。
この記事の画像(12枚)たこ善・木戸勇輝さん:
売り上げは(例年の)4分の1しかないが、常連さまや来てくれているお客さまのために何とか開けている状況
繁華街クラスターが発生した2021年3月以降、午後8時までの時短要請を受けて、松山市内の飲食店は臨時休業が相次いだ。
たこ善・木戸勇輝さん:
県と市に問い合わせたところ、「テイクアウト専門店は時短要請の対象外なので、今まで通り深夜まで営業してください。営業時間は何時でもいい」と言われて。うちはもう見捨てられている。そんな気持ちでした
たこ焼き店のようなテイクアウト専門店やキッチンカーなどは、店内の飲食スペースがなく、飛沫感染の恐れが低いため、時短要請の対象になっていない。
このため、「たこ善」も午後10時までの営業を続けたが、場所柄 繁華街の人出が客足に直結するため、売り上げは激減した。
「ここは違法営業」…つらい思いも
たこ善・木戸勇輝さん:
午後8時以降も開けていると、通りがかりの方に「ここは違法営業や」とか、中には直接「ここは何で違法で営業しよるん?」と言われるので。売り上げが下がっているうえに、そういう言葉もあるのでとても苦しい
つらい言葉もかけられたそうだが、それでも「しんどいのはうちだけじゃない」と、前を向いて頑張っている。
たこ焼きを買いに来た人:
テイクアウト(専門店)も(協力金を)もらった方がね。今(運転)代行おったんやけど、代行さん気の毒よね
たこ善・木戸明美さん:
そうなんです。代行さん、タクシーさん、お花屋さん、おしぼり屋さん、全部本当に気の毒やと思います。私たちなんか、まだちょっとでも営業はできるだけでもありがたい
たこ焼きを買いに来た人:
補助金は、飲食店だけでなく、こういった店とか、お酒屋さんや農家さんも含めて総括的に考えないと持続可能ではないので…こういったところもちゃんと補助金が分配されるようにしてほしい
たこ焼きを買いに来た人:
ここおいしいので、普段からちょこちょこ寄っているけど、開いててよかった。もうちょっとだから頑張ってねって思います
たこ善・木戸明美さん:
涙が出そう。ありがとうございます
光熱費などで全て消える応援金
愛媛県の9月県議会で、こうした周辺業者に「えひめ版応援金」を支給するための議案が審議されているが、その額は中小企業で20万円。光熱費や材料費で全て消えてしまうという。
たこ善・木戸勇輝さん:
転職も考えて、いろいろ辛い思いもあったけど、何とか今こうやって、売り上げは減ったが続けてこられています。お客さまからも「一日でも長く続けてや」とか、温かい言葉がもらえるので、それを励みに今頑張れています
たこ善・木戸明美さん:
(お客さんにたこ焼きを渡しながら)本当にこんな状況で来ていただいて、大変ありがとうございます。お気をつけて
まだまだ街に人は戻ってこないが、木戸さん親子はきょうも午後10時までお客さんを待ち続ける。
(テレビ愛媛)