「実は私の祖父(野田卯一氏)が “年金制度”を作った。だからというわけじゃないが、日本の年金制度は世界一信頼が高い。2100年まで綿密に計算されていることを知って頂きたい」

「日曜報道 THE PRIME」に出演した4候補(9月19日)
「日曜報道 THE PRIME」に出演した4候補(9月19日)
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19日朝、総裁選を巡り「日曜報道 THE PRIME」に出演した野田聖子幹事長代行はこう強調した。これに対し、河野規制改革相が「年金制度は維持されても年金計画は維持されない」と指摘したが、野田氏は「私の発言を聞いてから」とした上で、「中長期的に綿密に計算されているという前提で、いたずらに人の不安を煽るようなことをしてはいけない」と反論した。

SNSでは「ブロックせず嫌なことも受け止める」

総裁選告示の前日に、出馬に必要な推薦人20人を確保し、野田氏が悲願の初出馬を果たしたことで総裁選の様相が変化している。

野田氏はもともと討論能力が高く、テレビ出演や討論会などで、他候補に斬り込むなどして、一定の存在感を発揮している。
告示後初のテレビ出演となった17日の「イット!」では、ツイッターのフォロワー数240万を超える河野氏について「SNS上で私が河野氏に勝っていることは、決してブロックはしないこと。どんな嫌なことも受け止めて返せるように努めている」と語った。

「イット!」に出演した野田氏(9月17日)
「イット!」に出演した野田氏(9月17日)

“4度目の正直” 野田氏の強みは

野田氏の総裁選出馬への道のりは容易なものではなかった。
「安倍一強」と言われた2015年、2018年の総裁選で出馬を目指すも、派閥に属さない野田氏は特定の支持基盤がなく20人の推薦人確保に至らずに涙をのんだ。
菅首相が当選した2020年の総裁選でも出馬できず、4度目の挑戦で初の出馬を果たした。

野田氏を長く支えてきた議員は「彼女に総裁選の景色を見せてあげたかった」と語り、推薦人集めに奔走してきた。野田氏の周辺は、「失うものがない分、思いきり持論を展開できる」と自信を見せる。

野田氏と三原じゅん子厚労副大臣(9月17日出陣式)
野田氏と三原じゅん子厚労副大臣(9月17日出陣式)

17日に出演した「イット!」で、野田氏は自身が首相になった場合、閣僚の半分を女性にする考えを表明。

「私は当選2回で郵政相(当時)をやった。失敗はしなかった。女性をどんどん出すことで、女性が普通に仕事ができるところを見せていかないといけない。5割くらい女性は出せると思う。パラダイムシフトを起こさなければいけない、それが使命だ」と述べ、女性登用の重要性を強調した。

野田氏はどう戦う

野田氏は50歳の時に代理出産し、障害のある息子の子育てを続けながら国会議員として働いている。前の国会では、医療的なケアが必要な子どもやその家族に対する支援を可能にする法律を成立させた。子ども・女性・障害者などへの支援を拡充する「多様性」を第一に掲げる。
野田氏としては、無派閥のため議員票の上積みが容易ではないことから、論戦を通じて自身の政策をアピールし、党員票の獲得を出来るかどうかがカギとなる。

発信力を活かした選挙戦を展開する河野氏、政策を着実に訴える岸田前政調会長、保守派の論客として存在感を発揮する高市前総務相。
野田陣営からは「総裁選に出馬したことで自民党の幅の広さが伝わる」との声も上がる。

4度目の正直で、4番目に出馬表明した候補として、総裁選の「台風の目」になるか注目だ。

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