近年、全国でカキ氷の人気が高まる中、氷をブランド化して全国に展開しようと奮闘する広島の企業「己斐製氷」。「作った氷のブランドを、全国に羽ばたかせたい」という、“冷たい”氷にかける“熱い”思いを取材した。

広島市西区。商工センターの港近くに登場した「かき氷店」。毎日、営業しているわけではないが、それでも、うわさを聞きつけたお客さんが次々と訪れる。

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客:
すぐ飲み込める。柔らかいからすぐ飲み込める。おいしい

ここは製氷会社の敷地内。かき氷を作っているのは「氷のプロ」。

己斐製氷・池田誠 常務:
ちょっとアウトローな場所でこういうことをやるのは結構、意外と面白いのではないかなと思ってます。己斐製氷発信のオリジナルのかき氷の作り方でやっていけたら楽しいなと思っています

この会社は、これまでもさまざまな氷の可能性を追求してきた。
2020年の夏には、氷の球がころがって氷のドミノ倒しをする仕掛けの制作に挑戦。

「氷は冷やすだけじゃない 」ブランド化までの道のり

2020年の秋に製造を始めた「安芸の極み純氷」と「宮島純氷」。
氷は冷やすだけのものじゃない。彼らが目指したのは、氷のブランド化だった。

世界遺産として全国的に知名度の高い安芸の宮島。
「宮島純氷」は、弥山の天然水を使って作った。

己斐製氷・池田誠 常務:
宮島、弥山の花崗岩を通って地下水に湧き出た水を100%使用した氷なのですが、シリカという成分を多く含んでいて、美容効果にいいらしいのです。そういった成分だったり、ほかにミネラルも多く含んでますので、独特な氷になっています

2020年の秋に誕生したこの氷。かき氷のシーズンを迎えた今、全国で徐々に評価が高まりつつある。
全国の名氷を集める販売店に聞いてみると…

桐洋・青木恵信 社長:
かき氷店を食べ歩いたりする、かき氷フリークみたいな方々に食べさせてみたところ、評判はかなりいいです。食べた時の舌触りの滑らかさ、これがとにかく抜群ですね。
うちが取引をさせていただいているメーカーさん、みなさんかなりこだわりをもって特徴的な作り方をされる方ばかりなのですけど、その中でもちょっと群を抜いている感はありますね

「宮島純氷」と同じ時期に完成したのが、通常の氷の倍以上の144時間かけて凍らせる「安芸の極み純氷」。

己斐製氷・池田誠 常務:
144時間。およそ6日間かけて作っている氷で、今、4日目になるところですね

(Q.144時間かけて氷を凍らすことは普通ない?)

己斐製氷・池田誠 常務:
ないですね。やはり、だいたいの製氷メーカーは、その分、原価が上がりますし、だいたいはやらないですね

この氷の秘密は時間だけではない。実は、氷は中の気泡をなくすために、水を撹拌(かくはん)させながら凍らせていく。
通常は途中で撹拌をやめてしまうが、この氷は最後まで撹拌し続けることで、中に気泡がほとんど入らない氷になっている。

水をかき混ぜながら凍らせる。この技術を3カ月かけて開発した。

己斐製氷・池田誠 常務:
本当にガラス細工みたいになるので、気泡が入ってなくて、より透明度の高い氷というのは彫刻で使っていたのですが、本来、あるべき姿ではないというか。これだけいい氷を使うのであれば、食べてもらいたいというのがあったので

「全国へ羽ばたかせたい」ブランド氷への熱い思い

「極み純氷」も、徐々に取引先が増えていった。
広島市内のイタリア料理店。8月から「極み純氷」のかき氷をメニューに加えた

ラ・セッテ 北村英紀オーナーシェフ:
日本で一番くらいの氷じゃないかと思うくらいの純度の氷じゃないかと思っています。お客の評判もすごくいいです。今、3種類のかき氷を提供させていただいて、1人で2種類食べる人も多くいらっしゃいますし

かき氷ブームの後押しも受けて、氷は今、大きな可能性を秘めている。

桐洋・青木恵信 社長:
氷の違いという点に気が付く。違いのわかるお客さんが増えていることも確かです

己斐製氷・池田誠 常務:
広島という地で作った氷のブランドを、全国に羽ばたかせていきたいなというのはありますし

今や氷は冷やすだけのものではない。
広島発のブランド氷が今、全国に羽ばたき始めた。

(TSSテレビ新広島)