テレワーク定着のカギを握る、住まいの進化。パートナーや子どもが気になるなど「仕事のしにくさ」が、テレワークの定着を阻む要因となっている。
この記事の画像(16枚)そんな中、新築マンションで仕事空間を作る間取りプランや共有のテレワーク専用スペースを設置するなど、“住みやすさ”と“働きやすさ”の共存を狙う、テレワークに向けて進化した物件が増えている。
リュックにキーボード テレワークを快適にするグッズ
フジテレビ経済部 茅野朝子記者:
アフターコロナでも続いていくとみられているテレワークですが、今さまざまなニーズを満たすグッズが登場しています。
例えば、こちらのリュック「THIRD FIELD (15.6inch model)」(2万900円)は、リュックの表側を開くと自立させることができ、内側には細かく仕切りがあって、そこに引き出しがあるかのように必要な物を取り出すことができるんです。このリュックは「オフィスを持ち出そう」をテーマに作られています。
フジテレビ経済部 茅野朝子記者:
そして、こちらのキーボード「REALFORCE (各種)」は、音の静かなキーボードなんですが…加藤さん、ちょっと叩いてみていただけますか?
ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
音がかすかにしますけど、普通に叩くカチカチって音はしないですね。
加藤綾子キャスター:
(キーを)押した感じも柔らかいです。
フジテレビ経済部 茅野朝子記者:
感触もちょっとクセになる人がいるようなんですが、価格は2万円台中心と決して安くはないんです。
フジテレビ経済部 茅野朝子記者:
自宅でのリモート会議や深夜でも音を気にせずに仕事ができるということで、売れ行きが好調なんだそうです。
自宅の中に作る“仕事に集中できる快適空間”
フジテレビ経済部 茅野朝子記者:
浸透してきた印象のあるテレワークですが、その実施率は2021年7月の調査によると全国平均で約2割(20.4%)と、あまり定着していないというデータがあります。
フジテレビ経済部 茅野朝子記者:
私の周りでも「夫がテレワークでずっと家にいると、心が休まらない」とか、「仕事・家事・育児の境目がつきにくい」といった声が上がっていて、定着に向けては“仕事に集中できる快適な空間”を確保できるかが大きなポイントと言えそうなんです。
フジテレビ経済部 茅野朝子記者:
このテレワークの定着率を上げる鍵を握るのが、仕事のしやすさの向上です。仕事をする場所も重要なんです。そこで今注目されているのが、居住空間でもオフィスでもない、身近な第3の場所です。
ディベロッパー大手の三菱地所は、新築分譲マンションで新たなプランを打ち出しています。まず1つは、大きな木の箱で作るその名も「箱の間」です。
フジテレビ経済部 茅野朝子記者:
床の間ならぬ「箱の間」は、リビングや寝室に設置し、空間を仕切ることで仕事に集中できる場所を作れるというものです。感染拡大を機に販売を強化していて、例えば、家族がいて部屋数が少ない物件を購入する方が選ぶケースが多いそうです。
フジテレビ経済部 茅野朝子記者:
もう1つは、間取り図で「WIC」と言いますと「Walk in closet」思い浮かべると思うんですが、「“Work” in closet」というもの。
収納スペースをテレワークスペースに無料で変更できるプランで、こちらのマンションの販売では、全体の15%もの契約者がこのプランを選んだそうです。
加藤綾子キャスター:
柳澤さんは、ご自宅で仕事するときはどうされているんですか?
ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
テレビ番組でリモート中継があるんですけれど、専用の場所が見つけられないので結局、寝室の白い壁をバックにして、ライティングをするんです。普通の照明じゃダメなので、ネットで丸いリング状のライトを買って、リモート用のカメラを置いてやっています。専用の場所があるかないかっていうのは、やっぱり違いますね。
マンションロビーや近所にあるテレワーク空間
フジテレビ経済部 茅野朝子記者:
次は、玄関を出ても外には出ない場所。東京・大田区のファミリー型賃貸マンションのロビーに設置されたのは、「可動式プライベートボックス」です。
フジテレビ経済部 茅野朝子記者:
ボックスの中には、電源やWi-Fiはもちろん、換気扇やサーキュレーターなどで感染対策もされています。
フジテレビ経済部 茅野朝子記者:
賃貸に後付けされるというのは珍しいんですが、住民から「家族を気にせず仕事に集中できるスペースが欲しい」という声もあったことから、住民であれば24時間いつでも利用可能で、しかも無料なんです。予約状況を見ても平日の日中はほぼ埋まっている状態で、かなり好評のようです。
フジテレビ経済部 茅野朝子記者:
とはいえ、自分のマンションにはないし、リフォームまでは難しいという方に人気上昇中の第3の場所があります。東京・練馬区にある一見オシャレなカフェにも見える建物が、賃貸型のユニットハウス「Emi Cube」。
フジテレビ経済部 茅野朝子記者:
部屋は11平方メートル。エアコンや水道、トイレが完備され賃料は月額5万5000円(税別)。IT企業系に勤務する男性の自宅からは自転車で通える距離ということで、毎日ここでテレワークをしているといいます。
IT系企業に勤務する 金成奐さん(40代):
集中がすごくできるというのが、一番重要なポイントかなと思います。音漏れもないし、ミーティングなどの時も完全に他の方々に見られない状況なので。
フジテレビ経済部 茅野朝子記者:
ちなみにこちらは3棟あって、そのうち1棟は1時間550円からの時間貸し(5時間以上の利用の場合)で、ネットで誰でも予約ができるんです。
こちらの利用者も徒歩や自転車圏内という方が多いようで、テレワークの定着には“身近な場所に快適な空間を確保する”という新しい取り組みが必要なのだと思います。
加藤綾子キャスター:
工夫はいろいろあるようですけれども、テレワークがなかなか進まない現状をどう思いますか?
ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
仕事の種類によってテレワークにならないという人もいますし、20%ぐらいしかテレワークが浸透してないのは、企業経営者の判断じゃないかと思います。トップがどのように判断するかによって、そこの部分がしっかりしないと、環境だけ整えてもなかなか広がりが見られないかなという気はしますね。
(「イット!」9月13日放送分より)