「もっとおいしく彩りあるものを」コロナ自宅療養者に"老舗料亭の味"を宅配…料理の力で支援【北海道発】
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「もっとおいしく彩りあるものを」コロナ自宅療養者に"老舗料亭の味"を宅配…料理の力で支援【北海道発】

北海道文化放送
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新型コロナウイルスに感染し、自宅療養を余儀なくされている人たち。不安で不自由な療養生活を支えようと、北海道札幌市内の老舗の料亭が動き始めた。

1食2160円で配達は無料 友人の自宅療養をきっかけに

住宅のドアノブに掛けられた白い紙袋。中に入っていたのは、知床どりの塩麹焼きにサーモンの味噌漬け焼き。

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そして、蒸し野菜。

これらは、新型コロナウイルスに感染した自宅療養者のための総菜だ。

きょうど料理亭 杉ノ目・芹沢一弘 料理長:
第一はおいしさ。次に見た目の美しさ。盛り付け方も気を付けている

過酷な自宅療養を少しでも支えようと、見た目・素材・味にこだわった老舗の高級料亭の宅配サービスが始まった。

手掛けたのは、札幌市中央区で約60年続く老舗「きょうど料理亭 杉ノ目」。

この「特撰 滋養菜」は、1食2160円で配達は無料。

きょうど料理亭 杉ノ目・杉目茂雄さん:
5~6月に北海道で感染が拡大し、飲食業として何もできず悔しい思いをした。店舗での営業以外で役に立てることはないかなと

杉ノ目は、営業自粛要請のたびに臨時休業を繰り返してきた。8月も店は開けず、祝い事などの仕出しやテイクアウトのみで営業している。

きょうど料理亭 杉ノ目・杉目茂雄さん:
自宅療養を経験した友人が何人かいて、食に関して寂しい思いや不満があり、もっとおいしい物や彩りのある物を食べられないかと感じていました

3代目の杉目茂雄さん。身近に感染者が増え、SNSでやり取りしたことがきっかけだった。

自宅療養を経験した友人(SNSでのやりとり):
うち旦那がかかって私が自宅待機だった時、最初は旦那心配だし自分も本当に大丈夫なのかな?とか心配であんまり食欲がなかったけど、時間が経つにつれておいしいもの食べたいなー欲は出てきた

自宅療養を経験した友人(SNSでのやりとり):
テイクアウトできるとこは頼んでるよ。でも行きたいとこに限ってやってなかったりなの

自宅療養者やその家族から話を聞き、杉ノ目は6月から「宅配の総菜」を始めた。

「味覚障害あったが、味がしておいしいと感じた」

札幌市で水産会社を経営する菅野勝博さん(47)。

感染が判明したのは6月上旬。札幌市の保健所から自宅療養を指示され、無料の「自宅療養キット」が送られてきた。

キットにはご飯やレトルトのカレー、カップ麺などの食品のほかトイレットペーパーや消毒液などが入っていた。

自宅療養を経験した菅野勝博さん:
玄関前に箱で3段重ねられていた

菅野さんは1人暮らし。買い出しにも行けない中、40℃近い発熱に約2週間も耐えていた。

感染確認は月曜日だったが、待ちに待った「自宅療養キット」が届いたのは金曜日。呼吸が苦しい中、パックのご飯だけでも20個、フルーツの缶詰なども入った3つの重いダンボール箱を1人で運んだ。

自宅療養を経験した菅野勝博さん:
健康な時ならいいと思うが、体調が悪く中まで持って行くのも本当に大変でした

そんな時、同級生が「杉ノ目」の惣菜を手配してくれた。うれしい反面、不安もあったという。

自宅療養を経験した菅野勝博さん:
味覚障害で味が塩辛いか、甘いか苦いか、全部が極端になった。杉ノ目さんのお料理を食べた時、そういうものは全然感じられなくて、ちゃんと食べられた。食べ方も、レンジで温めて下さいと丁寧に買いてあった。ちゃんと味がしておいしいと感じた

真空パックだが、見た目に気を配った総菜。北海道洞爺湖町で自然に近い栽培をしている農場の野菜を使うなど、素材選びにも力を入れた。

きょうど料理亭 杉ノ目・芹沢一弘 料理長:
お客さんに味と目で楽しんでもらう気持ちを込めて、彩りの野菜を入れて作っている

「杉ノ目」の総菜はネット注文のみ受け付け、1日20食限定。自宅療養や待機の方限定で、注文は1食からでもできる。宅配の料金を取っていないので、利益は全くないと言う。

きょうど料理亭 杉ノ目・杉目茂雄さん:
正直、この総菜自体も注文がない方がいいと思っている。たくさん販売して利益を出すという気持ちもなく、この料金設定にした

北海道での新規感染者は減少傾向に転じた。札幌市内の自宅療養者も徐々に減っている。しかし、9月30日まで緊急事態宣言が延長され、市内では酒類を提供する飲食店への休業要請も継続。

店側も厳しい状況が続く中、「料理の力」で療養者を少しでも支えようという取り組みは続く。

(北海道文化放送)

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