愛媛県伊予市双海町で、地元のかんきつの販路拡大を目指して新商品が誕生した。9月3日から販売が始まったゼリーは、双海を盛り上げる新たな名物になるのか。
地元食材を味わって…親子のような2人がタッグ
谷岡真衣さん:
ゼラチンって持ってきた? お砂糖ある?
双海町の地域おこし協力隊・上田沙耶さんと、内子町の柿農家・谷岡真衣さんは2020年、6次産業化を学ぶ勉強会で出会い、双海のミカンを使った新商品作りに取り組んでいる。

谷岡真衣さん:
学生やったし、出会った頃の上田さんは。やっぱり無知な部分とかもあるでしょ。そういうところを助けてあげたい、というのはすごくありましたね

上田沙耶さん:
母ですね

谷岡真衣さん:
そうそう、母の気持ち
お母さんのように頼もしい存在の谷岡さんは、農家のかたわら、旬の野菜や果物を使った加工品の製造販売も手がけている。
谷岡真衣さん:
焼きトウモロコシを作ってガーリックオイルに漬けたり、ミニトマトをドライにして少し下味をつけて、タマネギと一緒にオイルに漬けたりとか。野菜ってギフトには向かないというか、日常なので。その野菜をギフトにしたかった

谷岡さんが2019年に立ち上げた「farmer's kitchen HIMARINO」。その原点は、娘・ひまりさんのためだった。

好き嫌いが多い子どもに大地からの贈り物の野菜をおいしく食べてほしいと、母の思いを込め、ひとつひとつ手作りにこだわっている。
“果実本来の味を楽しむゼリー” を目指して
コロナ禍により、これまで中心だったイベント販売ができなくなる中、愛媛ならではの味を全国の人に楽しんでもらいたいと、新たにお手製の瓶詰と農家仲間の自慢の野菜をセットにしたネット販売をスタートするなど、挑戦を続けている。

谷岡真衣さん:
上田さんとのコラボもコロナ禍で知り合ったのもきっかけに、何か彼女がチャレンジしたいと言っていることの手助けが、商品開発を通じてできないかなって
2人が作るのは、双海産かんきつのジュースと小ぶりなハウスミカンを使ったゼリー。ひとつひとつ薄皮をむいて食べやすく…手作業ならではのこだわりだ。

上田沙耶さん:
双海はまだまだ1次産業ばかりだから、売れるものが少なくて。高単価なジュースだけじゃなくて、いろんなとこに販路を広げたいなと思っていて
今回使うジュースも、規格外の小さなミカンを使って上田さんが商品化したものだ。

「地域の産業を盛り上げたい」。双海への愛と谷岡さんのノウハウがコラボし、たった1週間で新商品のアイデアが形になった。
谷岡真衣さん:
どうやったら日持ちするのか、すごく考えました
果実本来の味を生かすために砂糖の量は控え、生のミカンをまるまる1個投入している。

上田沙耶さん:
かわいい。めっちゃ
瓶詰めして空気を抜くことで長期保存を可能にし、より多くの人に楽しんでもらえるスイーツを目指す。

「夕日を見ながら食べてほしい」新作ゼリー完成
そして、ゼリーがついに完成した。ふたを開けると、完熟ならではの鮮やかなオレンジ色の海にミカンが浮かぶ。

上田沙耶さん:
いい、いい!
谷岡真衣さん:
プルンってした感じ
上田沙耶さん:
冷やし具合によっても食べ方変わりますね。ちょっと冷やしてジュレ、めっちゃ冷やしてゼリー、超冷やしてシャーベット

9月1日、試作を重ねた2人は内子町の加工施設にいた。
上田沙耶さん:
午前中、ずっとミカンの皮むきよったんですけど。最初の30分で疲れました…ははは(笑)

目前の発売日に向け、300個ものゼリーをひとつひとつ手作業で作っていたのだ。
上田沙耶さん:
海とそこに沈む太陽ですね、まさに。そう見えません? これ、ほら!「双海の夕日ゼリー」や

「双海の新名物に」と期待を込めて、ラベルも一枚一枚、丁寧に貼って仕上げていった。
谷岡真衣さん:
これを食べて双海に行きたいなとか、双海の海岸で夕日を見ながら食べてもらって、さらにおいしいなって思ってもらえれば

上田沙耶さん:
双海の宣伝塔になってほしいですね
またひとつ、地域活性化の期待がかかる新たな味が誕生した。

(テレビ愛媛)