減少傾向はお盆休みの影響か
「今週はお盆休みによる人流減少の影響をうけて新規陽性者数が一時的に減少した可能性があります」
9月2日に行われた東京都モニタリング会議では、新規感染者の7日間平均が4388人から3290人に減ったとの分析結果が示された。
しかし、この“減少”はお盆休みによる一時的な人出減少の影響とみられ、感染者数は未だ第3波の1.8倍と厳重な警戒を呼びかけた。

人出急増 過去の経験から必ず反転
「減少はしておりますが根本的に絶対値が非常に高い状況です。 今後どうなるかというは非常に読みにくい状況にあります」
国立国際医療研究センター大曲貴夫・国際感染症センター長は、今後の感染状況について、「読みにくい」とした上で、お盆明けの人出の急激な増加、特に夜間の人出が増えていることへの懸念を示した。
さらに「過去の経験からもこれが続きますと新規陽性者数は必ず反転してまいります」 と再増加への強い危機感を示した。

1回目接種後の感染が増加
その夜間の繁華街の人出はお盆明け2週間で16.7%増加、特に深夜22時から24時の増加が目立つという。 また、18時から24時までの全ての時間帯で、40歳から64歳の中高年の割合が最も高い。
「ワクチン1回摂取、2回摂取のその間で感染する方も非常に増えておりますので、そういったところで感染しないようしっかり守りを固めて頂きたい」
東京都医学総合研究所社会健康医学研究センターの西田淳志センター長は、1回目のワクチン接種後の“気の緩み”に警鐘を鳴らした。

学校でPCR検査など活用を
感染者のうち10代以下の割合が4週連続上昇。保育園、学童クラブ、高校、大学の部活動、学生寮などでの感染が多数報告された。新学期が始まり、子どもが持ち込む”家庭内感染”拡大に危機感が示された。
小池知事は学校に、PCR検査キットや抗原検査の簡易キットを整備するとした上で活用をよびかけた。

医療提供体制の深刻な機能不全が継続
「総力戦という体制をとって非常時体制をとっているところでありますが 、これがずっと続きますと我々の体力もなかなかずっと続かないと思います」
入院患者数が、重症者とも過去最多を更新。
東京都医師会の猪口正孝副会長は、緊急を要する患者の救急搬送や受け入れにも大きな支障が生じ、医療提供体制の深刻な機能不全が継続しているとの見方を示した。

重症者・死者が増え出すとピークアウト?
都内の重症者数は、先月12日に218人と200人台に達し、その後、増え続け、2日には291人にのぼっている。 これまでは感染者が増えると、遅れて重症者や死者が増え、重症者や死者が増え出す頃には、感染者数がピークアウトして減少傾向に入っていた。
ところが、ある関係者は「感染数は減ってきているけど、本当にピークアウトなのか分からない」 と戸惑いを隠せない。感染力の強さ、ブレイクスルー感染などの変異ウイルスの影響、保健所の業務が逼迫していて感染者を追いきれない、などの様々な要因で、実態や今後の見通しをつかむのが非常に難しい、という。

またいつものパターンに
「またいつものパターンに入ってしまう」
小池知事は感染者数の再増加への危機感をこう話した。 今の減少傾向を“本物の”減少傾向にするためには、一人一人が、自分の感染予防対策を見直し、自分で自分を守るしかないのだろう。
(フジテレビ社会部・都庁担当 小川美那)