警察の重要な仕事のひとつに、住民へ事件や事故から身を守るよう呼びかける活動がある。しかし、新型コロナウイルスの影響でイベントは難しい状況。
このピンチを乗り越えるため、動画の制作・配信でわかりやすく…。3人の警察官の熱き姿を追った。
イベントができないなら動画で啓発
不審な人物やテロへの警戒を呼びかける動画。制作したのは西条西警察署。この警察署は、2020年6月から自主制作の動画による広報活動を精力的に展開している。
西条西警察署・越智秀明署長：
3カ月に1回のペースで取り組んでおりまして、非常に高い意欲をもって取り組んでおります
西条西警察署 交通課・片山三也警部：
こんな感じで、パーッと絵を描いていっとんですよ
愛媛県警本部 広報県民課・宮武孝充警部補：
特に昨年度からは、コロナ感染症拡大を受けて映像コンテンツの制作依頼は増えております
愛媛県民の安全・安心のため、3人は情報提供に燃えている。
地元高校生も出演 自転車のルール違反へ注意喚起
7月、警察署の敷地に貼られた白いテープ。表しているのは文字のようだ。作業を指揮していたのは、今回ディレクターを務める1人目のキーパーソン・片山警部。
西条西警察署 交通課・片山三也警部：
高校生を対象とした自転車の正しい乗り方ということで、ルールを皆に学んでもらいたい
今回、片山警部が企画したのは交通安全を呼びかける動画の制作。テーマは、一時停止の違反やスマホの「ながら運転」など、高校生が犯しがちな自転車のルール違反の注意喚起だ。
地元の高校生も出演する。
西条西警察署 交通課・片山三也警部：
向こうから撮りよるけん、「あそこのところ止まらんといけないですよ」みたいな感じで…。「てへっ」って
笑いを交えながら、高校生たちと撮影の打ち合わせ。
西条西警察署 交通課・片山三也警部：
こう来たらアップにしといて、ゆっくり広角にしながら、3人の表情が見れるくらいで
演技からカメラワークに至るまで、映画監督さながらの細かい指導。しかし、片山警部に撮影の知識や経験はなく、頼るのは全て独自の感性だ。
いよいよ撮影開始。自転車に乗った2人の女子高生に白バイ隊員が「ゆっくり左に寄って止まってください」と呼びかける。
動画に出演の白バイ隊員：
あそこは一時停止。しっかり止まってくださいね
うなずいた女子高生たちが、片山警部の演技指導にあった「てへっ」のポーズをとり…。
西条西警察署 交通課・片山三也警部：
はい、OK！
屋外でのイメージシーンを撮り終えると、今度は室内で会話シーンの撮影へ。
動画に出演の高校生：
うわぁ、罰金もある違反行為なんですね。こうやって見ると、確かに周りの迷惑になってる
西条西警察署 交通課・片山三也警部：
うまいなぁ、OKです。上手ですね
出演者たち：
ルールを守って、事故のない高校生活を送りましょう
西条西警察署 交通課・片山三也警部：
はいOKです。どうもお疲れさまでした！
和気あいあいとした雰囲気の中、撮影は約2時間で無事終了した。
警察官の企画力が向上 スゴ腕の編集マンも
その様子を影から見守る人物がいた。警察署を挙げて動画制作を進める名プロデューサー・越智秀明署長。
なぜ動画の制作を進めているのか？
西条西警察署・越智秀明署長：
昨年来からのコロナ禍ということで、広報啓発活動ができなくなりました。短時間のドラマ仕立ての動画ならば、地域の住民に親しみを感じてもらえ、一番効果があるのではないかと
イベントができなくても住民に安心・安全の発信を。2020年6月から独自に始めた動画制作の取り組みは、今回で6本目。着実に実を結んでいる。
動画の撮影には他の署員も構成案を作成してくるなど、警察官の企画力向上にもつながっているという。
西条西警察署・越智秀明署長：
不審者が電車の中に荷物を放置し、その場を立ち去る…。最後は「安全なものにしましょう」と
今回、制作を担当した片山警部も絵コンテを描いて構想を練っていた。
西条西警察署 交通課・片山三也警部：
これは自転車じゃなくて白バイですね。厳しい顔っていう感じで。きれいとか汚いとか関係なくて、自分が伝えたいことが相手に伝わるような絵を描いていたらいい
このように撮影された動画を編集するのが、県警本部にいる宮武警部補。実はこのラストのキーパーソンがスゴ腕の持ち主だった。
愛媛県警本部 広報県民課・宮武孝充警部補：
いろんなコンテンツを担当しておりまして、（これまでの編集本数は）200本とかもっと多いんじゃないかなと。カウントしたことはないんですけれども
宮武警部補は2010年に広報県民課に配属され、いきなり経験がない編集の担当に…スキルはほぼ独学。
愛媛県警本部広報県民課・宮武孝充警部補：
簡易なものではあるんですけど、CGアニメーションということで、少し勉強させていただいて。制作してコンテンツの中で使うこともあります
今ではイメージCGまで作れるようになった。
愛媛県警本部 広報県民課・宮武孝充警部補：
なかなか警察職員の中で、コンテンツ作りを経験されている方が少ないこともありまして、私の方にいろいろ依頼をいただけるのは、私のやりがいにもなっています
3人のアツき思いで紡がれた今回の最新作。長さ3分ほどの動画が9月に完成し、YouTubeで公開される予定だ。
3人の感性が結集した動画は、どのように仕上がるのか？ 乞うご期待。
（テレビ愛媛）
