菅首相は東京などに出している緊急事態宣言について9/12まで延長することを決めた。これによりパラリンピックが終わる9/5の直後に解散して総選挙を行い、その後に自民党総裁選というスケジュールは非常にきつくなった。党内では「総裁選が先。日程は9/29投票が軸」の声が強い。

菅首相の腹の内は・・・
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ただある党幹部は、9/12の緊急事態解除直後に解散する余地はあるとの見方を示しているという。これだと10月中旬の投開票となり、確かにワクチン接種が進んでコロナはかなり落ち着いているだろうが、9/12の時点で解散できるのだろうか。無理にやろうとすると「菅おろし」になるのではないか。

普通に考えると、コロナ陽性者が増え、医療ひっ迫と言われる現状で、ワクチンが毎日150万回打たれるとしたら、1カ月で4500万回、単純計算では2250万人が「安全」になる。だったら1カ月でも2カ月でも解散総選挙は後にした方が与党の議席は増えるだろう。つまり菅さんはまだ解散できる状況ではない。

ただ問題は先に総裁選をやって菅さんは勝てるのか、ということだ。

「菅優位」か「菅おろし」か

総裁選を先にやるとして誰が出るのだろう。すでに出馬表明している高市早苗前総務相は出る。彼女の推薦人20人は足りなければ安倍晋三前首相が「貸す」のではないか。高市氏が出れば岸田文雄元政調会長も出ざるを得ない。彼は自力で20人集められる。

出馬表明している高市氏

高市さんと同じ女性の野田聖子幹事長代行はどうか。彼女は出たいが20人持ってない。たぶん安倍さんは高市さんに義理立てて野田さんには貸さない。菅さんは余裕があれば貸すが、余裕があるかどうか。ただ女性は複数出た方がいいと思う人がいるだろうし小池百合子さんへの当てつけにもなるから野田さんも出るかも。石破茂元地方創生相は出ないのではないか。派閥が20人を割り込む中で、あくせく20人を集めることを潔しとしないと思う。

「20人は持っていない」野田聖子氏の出馬はいかに

ちなみに菅さんは総裁選に出た人に対しキッチリ報復するだろう。だから出て負けた人はボコボコにされる。出る人は心して出てください。それから、石破派の若手、平将明氏が「中堅若手からも出したい」と言ってるのでもう一人くらい出るかもしれない。

菅さんの後継者と目される河野太郎さんは今回出ないだろう。後ろ盾の麻生太郎さんともども「コロナは菅さんにやってもらってその後に」と考えているのではないか。

菅首相の後継者と目される河野太郎氏

では勝つのは誰か。実は自民党の総裁選は基本的に派閥単位の戦いである。第1派閥の細田派が96人、第2派閥の麻生派が55人で計151人。自民党議員386人の4割を占めるので安倍、麻生の両氏が事実上のキングメーカーである。安倍さんは高市さんをちょっとだけ応援しても菅さんを押しのける気は全くない。麻生さんも河野さんはまだ早いと思っている。この2派に菅グループが加わり、竹下派も乗ってくるので、数の上では菅さんの優位は動かないだろう。

小泉純一郎さんのように党員票で派閥を動かした例はあるが、そこまでの「伸びしろ」を持っているのは河野太郎さんくらいで、彼は今のところ出ない。

太郎も百合子も晋三もコロナ次第

問題は世論調査における菅さんの「不人気」である。選挙に弱い若手は「菅さんでは負ける」と脅えている。この「脅え」が「菅おろし」に発展する可能性は十分にある。これをどうするか。対策は一つしかない。解散総選挙をギリギリまで後ろにずらすことだ。この1年半、内閣支持率はコロナが広がれば下がり、収まれば上がって来たからだ。

衆院の任期満了は10/21なのでギリギリ延ばすと11/28投開票にできる。これだと今から3カ月後。毎日150万回ワクチンを打つと1億3500万回。6750万人が「安全」になる計算だ。もちろんワクチン接種でリスクがゼロになるわけではないが大幅に減ることは間違いなく、少なくとも今の状況とは一変しているだろう。

もしワクチン接種が進まず、コロナの勢いが止まらなくて、菅さんがもたなくなったら、菅、安倍、麻生連合は河野さんを立てるしかなくなるだろう。さらに自民党政権そのものがもたなくなったら、二階さんは小池百合子さんを立てようとするかもしれないが、菅、安倍、麻生連合は安倍再登板という裏ワザで対抗すると思う。

二階さんは小池さんを立てても、菅、安倍、麻生連合は安倍再登板という裏ワザで対抗か

つまり当たり前のことだが秋の政局はこのまま粛々と進むか、あるいは大きく展開するか、すべてコロナ次第、ワクチン次第である。

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】