国連の気候変動に関する政府間パネル「IPCC」が、温暖化による世界の平均気温の上昇見通しなどを公表しました。報告書によると、温室効果ガスの排出が多くなってしまうと世界の平均気温は上がり続け、2100年には産業革命以前の水準と比べて4.4℃上昇する恐れも出てきています。

「人間が温暖化の原因」と初めて断言した今回の報告書。既に人類の危機が訪れてしまっている現状を強く警告しています。

天達気象予報士に、平均気温の上昇とどう向き合えばよいのかポイントを聞きました。

全国的に40℃超続出 沖縄が“避暑地”に

この記事の画像(3枚)

天達気象予報士:
このままいくと今世紀末、各地で40度を超えてしまいます。沖縄の気温が一番低くなっていますが、これはまわりが海にかこまれているため、熱い空気がたまりにくいんですよね。もしかしたら、沖縄が避暑地になっているかもしれません。

そのほかの地域は軒並み40℃を超えてきています。これが平均なので、日によっては50℃を超えてくるかもしれません。日中、外には出られない状況、サウナの中にいるようなもので恐らく外出禁止令が出され、人は夜行性になります。やむを得ずヘッドライトを付けて、学校や会社に行くことも出てくるかも知れません。

桁違いの勢力…「スーパー台風」が発生する恐れ 

天達気象予報士:
台風は今までよりも発生の条件が整いにくいため、数は減る傾向があります。しかし、海面水温が上昇し、台風のエネルギーは増大しますので、一度発生すると勢力の強いスーパー台風になる可能性があります。

つまり、少数精鋭となり、1つ1つが強く、最大瞬間風速90m/sの台風が日本にやってくる可能性があります。風速90m/sというのは、人が立っていて「よ―いスタート」で風が吹いた場合、人が一瞬で飛ばされてしまうほどです。陸上でほとんど吹いたことのないような風ですが、日本列島を襲う可能性もあります。

実は、すでに他の国で同規模の台風が発生したこともあり、2013年にフィリピンを襲った台風30号(ハイエン)は、高潮を引き起こし大きな被害をもたらしました。

海面上昇で沈む恐れがある国も 日常生活から温室効果ガス削減の取り組みを

天達気象予報士:
気温が今世紀末までに4.4℃上がると、海面が最大で約1m上昇してしまいます。2019年にマーシャル諸島で取材しましたが、海抜が最も高い場所で6mしかなく、海面上昇の被害を受けています。移動したくても、住民はお金がなくて避難できない深刻な状況です。住んでいるのは、地球規模で見ればほとんど温室効果ガスを出していない人たちです。温暖化の原因には関係ない人たちが、最初に影響を受けてしまっているのが現実です。

2030年、2040年になって世界の平均気温の上昇に気づいても、そのときには手遅れになってしまい、今よりもさらに早く不連続に気温が上がり続けるかもしれません。何年も前から言われていますが、今やらなければいけないこと。日常の生活で温室効果ガスを減らす取り組みを積み重ねること。

例えば、“緑”を増やすことです。緑のカーテンでも、植物を植えるのでもいい。成長過程でCO2をたくさん吸収してくれる若い木々を育てるのもひとつ。大事なのは“続けること”と、“世界に発信すること”です。

 (「めざまし8」 8月11日放送より)