新型コロナ感染、第5波に襲われている福岡県。
感染拡大を食い止める要となっている保健所だが、その保健所でいま、何が起きているのか?
福岡・糸島市の保健所を取材した。

第5波に襲われている福岡県…保健所は今

8月2日、月曜日の糸島保健所。
新型コロナの対応には、医師や保健師など約10人が専属で対応にあたっている。

コロナ対応にあたる医師や保健師
コロナ対応にあたる医師や保健師
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保健師:
はい 糸島保健所です

電話対応に追われる保健師
電話対応に追われる保健師

朝からひっきりなしに鳴る電話。市民からの相談は、7月下旬から急増している。
それに合わせるように、1日数人程度だった感染者は、二桁に上る日も珍しくなくなってきている。

糸島保健所 保健衛生課・松尾寿子課長:
急激にどんどん増えた感じですね。まだ終わりではなく、始まりの感じがします

4月から5月にかけての第4波では、1カ月以上休みがない職員も出たが、いまも同様の忙しさだ。

<保健師の電話対応>
「症状を詳しく伺っていきたいんですけど、いつから熱が?」
「7月28日から熱が何度?」
「きょうまでの間に行ったり来たり、微熱が続いている状態ですね」

糸島保健所には様々な問い合わせが届く
糸島保健所には様々な問い合わせが届く

相談内容は、医師でもある宮崎所長に必ず報告する。

相談員:
きのうから38.9度、きょうは38.4度ですね

糸島保健所 宮崎親所長:
検査した方がいいね。「検査しましょう」ということで、課長に言って、検査の段取りしてもらって

広がる感染…デルタ株が1カ月で30倍に

PCR検査を受けさせるかは、全て所長が判断する。
7月中旬から検査数も急増し、多い日で以前の6倍以上になっている。
この日の検査する人の年齢を見てみると、ほとんどが20代。

ここに最近の感染者の特徴があらわれていると、宮崎所長は指摘する。

糸島保健所 宮崎親所長:
若い人は非常に活動的なので、行動範囲も広いし、会う人数も多いので、陽性者が1人いると周りの人が陽性になっていく形で、急に(陽性者が)上がってきている。ほかでも言われているように、デルタ株の影響があるかもしれません

県内で進む、感染力の強いデルタ株への置き換わり。
福岡県によると、6月末には感染者全体の1%ほどだったにも関わらず、1カ月足らずで30倍の31.2%まで増加した。

1カ月足らずで30倍に…
1カ月足らずで30倍に…

ワクチン接種が本格化したばかりの若い世代を中心に、感染が広がりをみせている。
その影響は、この日の感染者にも…

糸島保健所保健衛生課 松尾寿子課長:
きのうの分と朝イチの分が、結果が出まして、2人ですね

この日、糸島市内では8人の感染が判明した。そのうち3人が、10歳未満の子ども。
この3人のうち少なくとも1人は、親の濃厚接触者として感染が確認された。

実は、7月の県内の感染者は、20代から40代の子育て世代が6割以上を占めていて、その感染が子どもへの感染にもつながっているのだ。

糸島保健所 宮崎親所長:
20代で、お子様を持っている。30代前半で、若い人がお子様を持って帰って、特に小さい子であれば接触しますので、感染が起こりやすい

1つの感染から濃厚接触者へ…先の見えない作業

感染者の増加は、すぐさま保健所の負担増に直結する。
本人に告知し、病院や療養施設などを調整。さらに、感染経路や濃厚接触者なども調べなければならない。

<保健師の電話対応>
「31日から熱が出ているが、2日前に保育園に行かれて、2日さかのぼるので、保育園は何時から何時まで行った?」

この日、感染が確認された子どもは、発熱の2日前に預かり施設に通っていたことが判明。
感染が確認された子どもと接触した人は、濃厚接触者となる。

保健師:
30人ぐらいいる。プラス保護者が2人ずつ入っていた

糸島保健所 宮崎親所長:
40人ぐらいか…。緊急だ、これ

結局、保健所では約40人を濃厚接触者として検査することに。
さらに、この中から感染者が見つかった場合は、また濃厚接触者を特定し検査。
感染者が出続ける限り、先の見えない作業が続く。

多忙を極める保健所の業務が一段落したのは、午後5時、ようやく昼食。

糸島保健所 宮崎親所長:
うちの地域の人たちに、本当にコロナにかかってないように、1人でもかからないようにして頂く。そのために我々が役に立てばと思っています

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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