近ごろは感染予防のため、体温計測やレジの支払いなども「非接触」で行うことが広まってきたが、子どもから大人まで大好きなソフトクリームも店員と「非接触」で食べられるようになったことをご存じだろうか。

調理ロボットサービスを開発しているコネクテッドロボティクス株式会社は、ソフトクリームの注文から提供までの全プロセスを非接触で行うロボットの実証実験を実施している。
 

出典:コネクテッドロボティクス
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ウシをかたどった非接触型ソフトクリームロボット「レイモくん」が設置されているのは、関越自動車道上り線の三芳パーキングエリアにある商業施設「Pasar(パサール)三芳」。

キャッシュレス決済に対応した備え付けのタブレット端末で注文すると、「レイモくん」がコーンをディスペンサーから受け取り、器用に腕を動かしてソフトクリームをくるくる巻いて提供してくれる。かわいい見た目もあって作るのを見ているのも楽しい。
 

実は「レイモくん」のようなソフトクリームロボットは、2018年に長崎県佐世保市のハウステンボスに初登場している。
ただし、これまでのロボットは、注文の受付やコーンをアームにセットする作業は人間が行う必要があった。
そこで今回の実証実験に使われているロボットには、新たな特徴が3つあるという。
 

1、従業員不在で商品提供が可能に
2、キャッシュレス決済との連携
3、コーンディスペンサーの自動化

コネクテッドロボティクス社は2018年に世界初の「ロボットたこ焼き店」をオープン。
ソフトクリーム、ホットスナック、ソバなどをを作るロボットや食器を洗うロボットなど様々な製品を世に送り出してきた。
今回の実証実験では、非接触型サービスの実現と、調理自動化推進のための小型調理ロボット量産化を目指しており、8月16日まで実施するという。

これで完全な自動化が実現したのだろうか?そもそもなぜロボットにソフトクリームを作らせようと思ったのか?担当者に聞いてみた。

コロナ禍で非接触がいいという声があった

――実証実験の狙いは?

すでに商品化したソフトクリームロボットは、店員さんかお客様がコーンをロボットに載せる必要があります。
今回は、キャッシュレスに対応して、決済が済んだタイミングからロボットが動き出します。
コーンディスペンサーも自動化して、注文が入るとロボットがディスペンサーの方に動くとコーンが手に落ちてきます。
そこからぐるぐる巻いて、お客様に提供するという一連の流れが完全に自動化できます。

今までは、ご注文が入るまで店員さんがそこでずっとスタンバイしているか、お客様がコーンを入れる事が必要だったんですけれども、それがまったく必要なくなります。
 

――自動化を求める声があった?

自動化というよりも、コロナのこともあるので非接触がいいという声がありました
また、店員さんがずっとロボットの近くにいるのは人件費などの負担にもなりますし、それを軽減する事は社内でも考えていました。
 

――完全な自動化を実現した?

もちろんミックス(ソフトクリームの素)やコーンが足りなくなったら補充する必要はありますが、注文の都度、店員さんが対応することはなくなります。
 

――そもそもどうしてロボットにソフトクリームを作らせようと思ったの?

実は、創業当時インターンで来ていた学生がソフトクリームのロボットを作ってみたいと言ったのが最初でした。
当社の「たこ焼きロボット」は代表取締役の沢登哲也のアイディアから作られた物ですが、沢登自身もソフトクリームロボットをやってみたいという話になりました。

たこ焼きやソフトクリームは、日常のちょっと先にある、人が楽しんで笑顔になるような食品です。そういうものを扱えるのはいいよね、それじゃあやってみようと、取り組み始めたのがきっかけですね
 

ロボットが一生懸命ソフトクリームを巻いている雰囲気を出したい

今回の実証実験ではウシ型の「レイモくん」が使われているが他にも3タイプあり、ぬいぐるみをお店のキャラクターに変更できるタイプもある。
 

出典:コネクテッドロボティクス
出典:コネクテッドロボティクス

――ロボットのかわいい見た目にはどんなこだわりがある?

社内のデザイナーが作っています。
やっぱりメインのターゲットはお子さんなので、人の動きを検知して体を動かしたり呼びかけたりして、喜んでもらうことを意識しています。
あと横から見たとき、ロボットが一生懸命ソフトクリームを巻いている雰囲気を出したいと、そいうところも気をつけて作っているそうです。
 

――ソフトクリームロボットはこれからどう進化する?

タブレットは使いやすいように改善を重ねていきます。
また私たちが組み立てるのでなく、例えば飲食店の方が段ボールを開けたらすぐに設置ができるようにして、量産化を目指しています。
 

出典:コネクテッドロボティクス
出典:コネクテッドロボティクス

ちなみにソフトクリームロボットは、1時間に133個、1個当たり約27秒で作る性能があり、今回実証実験で使われているロボットも変わらないという。
「お疲れ様」と言いたくなるようなかわいいロボットが、一生懸命作るソフトクリームを食べてみるのもいいかもしれない。
 

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。