3日、国立競技場で陸上・男子200mの予選が行われた。

日本からは、サニブラウン・アブデルハキーム選手、飯塚翔太選手、山下潤選手の3選手が登場したものの、そろって予選敗退。

そんな中、予選第4組に出場したイギリスのアダム・ジェミリ選手(27)は自己ベスト19秒97を持つ選手。そのジェミリ選手の予選の記録は1分58秒58。もちろん全体で最下位の記録で予選敗退となった。

スタート直後から歩き続けて…

彼に気付いたのはスタートから20メートルほどのところ。歩いている選手がいるのに気付き、カメラを向けた。

同じレースを争った選手全員がゴールしたあとも、同じように立ち止まることなく歩き続け、ゴールを目指し続けるジェミリ選手。

最後、彼は涙を浮かべながらゴールした。

スタート直後に太ももがけいれんし、走るのを止めたというジェミリ選手。

英・ガーディアン紙によると「走らなければいけないと思ったが、とてもじゃないけど痛みがひどかった。自分に対して少なくとも走らせてくれと叫んだが…ラストの部分ではでけいれんを起こすだけではなく涙が出た。こんなことが起こったなんて信じられない」

五輪に出場した証

彼はなぜゴールを目指したのだろうか。それは「記録」を残したかったからじゃないかと思う。
棄権していれば「記録なし」だが、どんなタイムでもゴールしたことで東京五輪に出場した証を刻むことができるのだ。

多くの観客が入っていれば、彼の背中を押す拍手が沸き起こったことだろう。彼は無観客のなかゴール。ボランティアスタッフたちの暖かい拍手が国立競技場に静かに響き渡った。ジェミリ選手の記憶に刻み込まれたはずだ。

そして1分58秒58の記録が残った。

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(フジテレビ五輪取材班 北川勝則)