就任後半年が経ったジョー・バイデン米大統領の支持率が就任以来最低を記録。政権の先行きに「黄信号」が灯ったとされる。

世論調査会社ギャラップが7月6~21日に行った調査で、バイデン支持率は50%、不支持率は45%だった。就任時の支持率は57%だったがここへきて減少に転じ、第二次対戦後の歴代大統領の就任半年後の支持率と比べて歴代9位。バイデン以下はクリントン氏と最下位のトランプ氏だけだ。

バイデン大統領の支持率(ギャラップ世論調査より)
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ワシントン政界が注目するのは党派別の支持率で、野党共和党支持の有権者は相変わらずバイデン大統領に厳しく12%だったが、無党派層の支持が就任時の61%から48%に低下、さらに頼みの民主党支持者も就任時の98%から90%に落ちた。

党派別支持率(ギャラップ世論調査より)

「左旋回」で“バイデン離れ”

「これはバイデン大統領には『黄信号』である」

ワシントン発のニューズレター「ワシントン・ワッチ」は、政権の先行きをこう危ぶむ。

バイデン大統領は民主党左派の強い支持を受けて当選したこともあり、医療保険拡充や気候変動対策、警察改革など民主党の急進左派の要求にかなり応じ、その治世が「左旋回」していた。

これに対して無党派層に「バイデン離れ」が起きはじめているだけでなく、民主党支持者の中にも反発する者が少なからずいることを示している。

さらに、新任の大統領の支持率は第3四半期(7月20日~10月19日)に低下が顕著になるのが通例だ。バイデン大統領がこの「ジンクス」を破るためには、まず新型コロナ対策と経済社会活動の正常化、凶悪犯罪対策などの案件が山積している。

支持率低下が懸念されるバイデン政権

今後の鍵は「インフレの行方」

中でも支持率の動向に最も影響しそうなのがインフレの行方だ。米国の6月の消費者物価指数は上昇率で前年比5.4%増で、12年10カ月ぶりの大幅上昇を記録した。イエレン財務長官らは「一時的な現象」と楽観視しているが、食料品やガソリンなどの身近な物価が高止まりすると「支持率の下落につながる」と大統領周辺では懸念しているという。

夏休みシーズンが終わると、米政界は来年の中間選挙に向けて動き出す。そうした中でバイデン大統領の支持率低迷は全議員が改選の下院や、三分の一議席が改選される上院の行方を左右するのは間違いない。

ただでさえ「中間選挙は大統領政党にとって不利」と言われるのに、大統領が改選議員の足を引っ張るようなことになると、民主党は11議席しか上回っていない下院議席や2議席差で少数派の上院の主導権を共和党に奪取されることになる。

そうなれば、その先の2024年大統領選挙で共和党がホワイトハウスを取り返す可能性も強まり、場合によっては「トランプ再当選」がないとは言い切れないという見方もあると「ワシントン・ワッチ」は懸念している。

【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】
【表紙デザイン:さいとうひさし】