乳幼児健診がコロナ禍の影響を受けている。北海道札幌市では、10カ月健診が「対面」ではなく「セルフチェック」方式で行われる。

子どもたち、そして保護者にどのような影響があるのだろうか?

人手が足りず…10カ月健診をセルフチェックに

生後8カ月の下山碧葉ちゃん。

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まもなく10カ月健診を迎えるが、保健センターから届いた封筒には子どもの状態をチェックし記入する用紙が入っていた。

従来行われていた対面の健診ではなく、保護者がセルフチェックを行い、不安な点があれば個別に健診を行うという形式に変わったのだ。

碧葉ちゃんの母親 下山成美さん:
自分だけのセルフチェックで、果たしていいのか。もし、見落としていたらどうしようとか、すごくささいな不安で保健センターに相談しづらいとか

また、定期的な健診は、同じ年齢の子を持つ保護者同士の交流を深める場にもなっていた。

碧葉ちゃんの母親 下山成美さん:
誰にも会えなくて孤独だったので、誰かと話したり、苦労を分かち合える機会があったらいいと今でも思います

北海道札幌市の乳幼児健診は4カ月、10カ月、1歳半、3歳、5歳の合わせて5回行われる。しかし、コロナ禍の影響で2020年3月から一時休止を繰りかえしてきた。

1回の健診の参加者を減らし、健診の回数を増やすことで再開したが、人手が足りず10カ月健診についてはセルフチェック方式を導入した。

現場からもあがる苦悩の声「虐待の未然防止にも」

札幌市保健所・阿部位江子 課長:
苦肉の策というか、断腸の思いというか。私たちも早く集団健診に戻したいという思いでいます

乳幼児健診は子どもの発育状況を確認するだけではなく、他にも大きな役割がある。

札幌市保健所・阿部位江子 課長:
育児不安や困りごとに対応することで、児童虐待の未然防止につなげるという、大きな機会にもなっています

北海道札幌市北区で2歳の男の子が母親にクローゼットに閉じ込められ、その後死亡した事件。

母親は以前、住んでいた自治体で支援が必要とされる「特定妊婦」と判断され、出産後も継続支援が必要とされていた。

コロナ禍の影響で、支援が必要な保護者が表面化しにくくなっているという。

育児の悩みを保護者が共有 ”交流の場”を提供する団体

様々な親子が親睦を深め、子育ての相談を行う集まり。

民間の子育て支援団体が人数制限をするなど感染対策を行って、札幌市内10カ所で月に1度行っている。

参加した保護者:
こういう場があれば他の保護者と知り合えたり、気軽な感じで話ができたりするのでありがたい

コロナ禍の影響で子どもと2人きりになることが増え、ある相談の件数が急増したという。

NPO北海道ネウボラ・五嶋耀祥 理事長:
子どもがイライラするし、自分もイライラするという相談がとても多い。網の目と、地域とのつながりを深めていきたいと思います

子どもの成長を守り、保護者の社会からの孤立を防ぐため、改めて乳幼児健診の重要性が注目される。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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