西村経済再生担当大臣は、酒類の提供停止などの要請に応じない飲食店に対し「金融機関から働きかけを行ってもらう」などと発言したことについて、13日の会見冒頭、「飲食店に不安を与えてしまった。反省している」と述べた。

「趣旨を十分伝えきれず反省している」

西村経済再生担当相:
飲食店の皆さまに関する私の発言についてであります。飲食店の皆さまには、長い期間に渡って、厳しい経営環境の中、感染防止対策ご協力をいただいて、心から感謝を申し上げたいと思います。

今回、私の発言で混乱を招き、また飲食店の皆様に特に不安を与えることになってしまった。 
なんとか感染を抑えたい、できるだけ多くの方にご協力いただきたい、という強い思いからではありましたが、趣旨を十分伝えきれず、反省しているところであります。 
決して、融資を制限したりするといった趣旨ではありませんでしたけれども、様々なご指摘を重く受け止めて、飲食店の皆さまの不安を払拭するため、金融機関への働きかけは行わないことにいたしました。

今後、飲食店の皆様には、時短等の要請に応じていただけるよう、協力金の早期給付、できるだけ早く渡すという仕組みを今急いでおりますが、仕組みを導入し、迅速な支給を行っていきたいと考えています。

また金融機関にはですね、これまで重ねて事業者への資金繰り支援をお願いしてきているところであります。飲食店の皆様が事業を継続できるよう、支援に万全を期していきたい。

他方、不公平感解消し、ですね、要望に応じていただいている飲食店の皆様のご協力にこたえていくためにも、できる限り多くの店舗にご協力いただけるよう、粘り強く、働きかけなど環境を作っていきたいというふうに考えております。 

「責任果たしていく」と辞任否定

記者:
今回の混乱を招いた責任や、辞任を求める声が上がっていることについては?
また、要請に応じない飲食店との取引をしないよう、販売業者に求める方針について、酒類販売の業界団体は「酒類の取引停止に対する補償もない中で、毅然とした対応を取ることは商慣習の常識からいっても困難だ」とのこ抗議に関する受け止めは?
この方針については撤廃をせず、引き続き協力を求めていることに変わりはないか?

西村経済再生担当相:
まず金融機関を通じた働きかけについての私の発言についてでありますが、なんとか感染を抑えたいという思い、そしてできるだけ多くの方にご協力いただきたいという、非常に強い思いから発言をしました。

意図するところは、まさに金融機関の皆さんが通常、事業者の皆さんと通常のコミュニケーション、対話の中で様々意見交換する中で、感染防止対策を呼びかけていただくという趣旨でありましたが、優越的地位の乱用ではないかなど、様々な受け止めをされてご議論いただく中で、特に飲食店の皆さんにご不安を与えてしまいましたので、私自身反省をし、そして働きかけについては、取りやめることとしたところであります。 

酒類販売業者の皆様方に対する連絡につきましてはですね、感染症対策の徹底を図る観点から発出をさせていただいたものでありますが、決してこれも強制的な実施を求めるものではなくて、それぞれの事情のもとで、可能な範囲で感染拡大防止に対するご協力をお願いする趣旨でございます。 

酒販業界の皆様におかれてもですね、これまで感染防止対策にご協力いただいているところでありますし、国としても地方創生臨時交付金を活用して、都道府県においてですね、通常の月次支援金に上乗せをして支援を行うような対応をとってきているところでありますけれども、その上で今般酒販業界の皆様から、財政支援も含めて与党に対しても要望ご意見がありですね、そしてまた私自身もご意見を承り、伺いました。 こうしたご意見も含めてですね、現在対応を検討しているところであります。

できるだけ多くの皆様にご協力いただけるように、そうした環境を作っていくことが私の責任だと思いますので、反省すべきところを反省をしながらですね、何としてもコロナを抑えていく、そして多くの皆様にご協力をいただく中で、事業も継続していける、そうした環境を作っていけるようにですね、責任を果たしていきたいというふうに考えております。

 酒販業界への働きかけ「与党と調整」

記者:
金融機関に関しては取り下げましたが、酒類販売事業者の方は取り下げない理由は?

西村経済再生担当相:
酒販業界の皆様からご意見もいただきましたので、それを踏まえてどういうふうに対応していくか、現在検討を急いでいるところであります。
与党にも様々要望ご意見が出されておりますので、与党と調整しながら対応を急ぎたいというふうに考えております。

記者:
さらに具体的な財政支援みたいなものを考えているのか?

西村経済再生担当相:
現在、対応を検討しているところであります。 

メディア・広告への協力依頼は検討中

記者:
メディア・広告にも協力を依頼すると言っていたが、具体的にどういうことを想定しているのか?
関係省庁と調整をしているのか? 

西村経済再生担当相:
メディア・広告などについてのご質問ですけれども、都道府県がですね、特措法の規定に基づいて協力要請を行ったときに、要請を応じていただけない飲食店に対して、命令を出したりするケースがあるわけですが、そうした要請や命令を行った際に公表できることになっております。

公表された場合には、メディア・広告などに対してもですね、そうした当該命令が出されたという、公表された事実にも留意していただけるよう、何らかの対応ができないかということを検討しているという趣旨で申し上げました。 

具体的な内容についてはまだ何も決まっておりませんけれども、当然のことながら、報道や表現の自由、こういったものに介入するという趣旨のものではありません。 

記者:
公表された店舗は取り上げるべきではないという趣旨ですか? 

西村経済再生担当相:
知事として公表がなされた場合にですね、これ周知の事実になりますけれども、そういったことを踏まえて何か対応ができないかということを検討しているという趣旨です。 

事務方が菅首相や関係閣僚にも説明

記者:
金融庁・経産省など関係するところがあると思うが、今回、関係閣僚で事前調整をしたのか?
あるいは大臣のもとで考え、決めたのか? 

西村経済再生担当相:
まず関係閣僚間でですね、官邸での打ち合わせを行って、これまでも行ってきております。 
その打ち合わせに入る、閣僚間の議論に入る前の段階で、現在の感染状況などについて事務方からの説明が行われ通常行われることになっております。 

その中で、この酒類の提供停止に関連して、金融機関や卸売業者の方々への働きかけについても触れられたところでありますが、閣僚間の議論におきましては、まさに、緊急事態あるいはまん延防止重点措置の対象地域をどうするか、あるいは、その期間、それから飲食店の酒類提供の停止、これは専門家も指摘する対策の肝である一方ですね、協力いただいている飲食店の方々にとっては死活問題でもありますので、そうした点も踏まえ、必要な支援策は何か、また多くの方々に要請をしていただける環境をどう作るか、こういった点を中心に議論が行われました。 

それ以上の、具体的なまさに金融機関への働きかけなどについての議論はなかったものというふうに記憶をしております。 

そしてこの金融機関に対する働きかけ、今回廃止した通知でありますけれどもあるいは酒類販売に対して通知の具体的内容につきましては内閣官房のコロナ対策室が関係省庁と調整の上で協力依頼を行ったものでということであります。 

記者:
閣僚間の議論に入る前の段階の、事務方での説明では、働きかけについても触れられていたということだが、いわゆる5大臣会合の冒頭のスタートのところの、事務方の感染状況説明などと合わせてその場で出ていたと?
5大臣とも説明は耳に入っていたという認識でよいか? 

西村経済再生担当相:
通常、閣僚間で議論する前にですね、事務方から感染状況、病床の状況、あるいは様々なトピックス、今後の対応など、まず事務的な説明を受けますので、それは総理はじめ我々も、閣僚聞いた上で、その上で様々議論をしていくというのが通常のパターンで、今回もそういうことでありました。

繰り返しますが、閣僚間の議論では、特に集中して、地域どうするのか、期間をどうするのか、それからどうやって皆様方に協力いただけるのか、あるいは支援をさらに強化していくのか、今回導入した先渡しという言い方をしていますけれども、期間が終わるまでに通常は期間が終わってから、募集し、受付が始まって1ヶ月2ヶ月たつわけですけども、今回お願いをする期間のうちにできるだけ早く申請を始めて早期支給しようと。 

そういう趣旨での対応していくことにしたわけですけども、そういったところに議論が集中したということです。 

記者:
先日の総理ぶら下がりのときに「把握していない」「認識していない」という発言だったが、そういう意味においても、その働きかけの方針は入ってないということか?

西村経済再生担当相:
総理があのときご発言されたのは、私がどういうふうに言ったか、私の発言については、承知していないというふうに言われたというふうに理解をしてます。 

金融庁・財務省・経産省と調整

記者:
関係省庁と調整したということだが、相手先の関係者庁は、金融庁、経産省、財務省という認識でいいか?

西村経済再生担当相:
はい、その通りです。 

酒販事業者への要請「対応を検討」

記者:
酒販事業者への要請について、国税庁などからの要請が入っていることによって、要請といいながら受ける側にとっては、「圧力」というふうに受け取るということで、抗議が来ていると思うが、これについてその法的な根拠がない要請で、憲法違反であるとか、法的な問題点を指摘する声も出ているが、それでも必要だという必要性について? 

西村経済再生担当相:
今回、東京に緊急事態宣言を発出するにあたって、東京都ともかなり打ち合わせをし、酒類の提供を停止をするということで、今の変異株で、足元は2割から3割なってきていること、50代・40代の入院が増えていること、重症者が増えてきていること、これの対応という観点から強い措置でお願いせざるを得ないという中でですね、様々議論を行いましたけれども、何とかご協力いただいて感染を抑えていきたいという中で、今回酒類の販売事業者の皆様にもお願いをさせていただきました。 

これはあの、何か強制的な実施を求めるというものではありませんので、まさにそれぞれの事情のもとで可能な範囲でですね、各事業者の可能な範囲で感染拡大防止に対する協力お願いをするという趣旨でお願いをさせていただきました。 

そうした中で、様々なご指摘、ご批判、ご意見をいただいておりますので、私も直接お伺いしましたし、与党にも寄せられておりますので、そういったものを踏まえてですねそういったご意見も踏まえて現在対応を検討していると。 

記者:
取り下げる可能性も? 

西村経済再生担当相:
検討を急いでおります。 

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「経済部」は、「日本や世界の経済」を、多角的にウォッチする部。「生活者の目線」を忘れずに、政府の経済政策や企業の活動、株価や為替の動きなどを継続的に定点観測し、時に深堀りすることで、日本社会の「今」を「経済の視点」から浮き彫りにしていく役割を担っている。
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