西日本豪雨から3年。甚大な被害に見舞われた広島・安芸郡の坂町小屋浦地区では、「小屋浦キッズ防災士」と呼ばれる小学生が、地域の笑顔を守るため、命を守る防災に取り組んでいる。

キッズ防災士が伝える「命を守る防災」

坂町小屋浦に、地域の人たちの笑顔を見守る花壇がある。付けられた名前は「スマイル花だん」。
苗を植えているのは、坂町立小屋浦小学校に通う3年生の子どもたち。

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苗を植えた児童:
お花いっぱいで、地域の人を笑顔にする花になってほしいです

「地域の人を笑顔にする」。この思いは、上級生から引き継いだもの。

3年前の西日本豪雨。
坂町は街一帯が流れ出た土砂で茶色く覆われ、災害関連死を含め20人が亡くなり、1人が今も行方不明のまま。

甚大な被害を受けた地域の1つ、小屋浦地区。
西日本豪雨をきっかけに、小屋浦小学校では独自の取り組みとして、防災の活動を続けている。
“小屋浦キッズ防災士”として認定された、5年生の児童13人。
「小屋浦地区に笑顔を取り戻したい」という子どもたちの思いから始まった活動は、優れた防災教育の取組みを表彰する「ぼうさい甲子園」で「ぼうさい大賞」を受賞した。

子どもたちは、授業などを通じて「命を守る防災」について学んでいる。
この日訪れたのは、学校近くに完成した砂防ダム。
ダムの担当者の話を真剣な表情で聞き、積極的に質問する。

小屋浦キッズ防災士の1人、渡邉みなみさん。
未来に向けて、今自分たちにできることは何か、真剣に考えている。

小屋浦キッズ防災士・渡邉みなみさん:
その時の状況を思い出しながら、自分は悲しいとか、つらい気持ちはあったけど、そこから未来にどうつなげていけばいいかなと自分でも考えながら、もっとみんなに広めて、坂町の皆さんに伝わっていければいいかなと思います

防災について学ぶ小屋浦キッズ防災士たちが課題として捉えているのは、地域の人たちにどうやって防災を広めていくかということ。

この日は、地域の人に配る防災のチラシ作り。
ポイントを整理したあと、タブレットを使い、チラシ作りに臨む。

小屋浦キッズ防災士・渡邉みなみさん:
あまり文字の間を詰めないで、誰でも見やすいようにする

子どもたちは、教えられて学ぶだけでなく、自ら考えて行動する。

児童:
こうしたらわかりやすくなるとよか、こうするよとか教えてあげたりしていました

担任・山本めぐみ先生:
あの災害が、自分たちが予期していなくて起こったので、いつかまた起きるかもしれないという思いは持っているんだと思います。災害死ゼロ、逃げ遅れゼロということを目指して、少しでもたくさんの人に早く逃げてほしいという思いを持ってるんだと思う

女性を悲しみから救った「スマイル花だん」

避難を呼びかける言葉、被災した時の写真…。
これは、子どもたちが自分たちで調べて作った小屋浦地区のハザードマップ。

防災を「広める」にはどうすればいいのか?
この日、子どもたちはハザードマップを持って、学校の外に出た。

小屋浦キッズ防災士・渡邉みなみさん:
きょうは、トイシバ電機さんにハザードマップを貼ってもらうお願いに行きます

やってきたのは、学校近くの電機店。
自分たちの言葉で、工夫したポイントを伝える。

児童:
お年寄りにもわかるように文字を大きくしました。ほかにも、子どもでもわかるように、ふりがなをふったり、写真をはったり具体的にしました

ハザードマップを指さしながら、子どもたちと話をするのは、問芝恭子さん。
3年前の西日本豪雨で、自宅と電機店が大きな被害を受けた。

トイシバ電機・問芝恭子さん:
滝の中にいるような感じになってて、その水の流れにのって車が下りてきて、翌日見ると、それが土砂に埋まっていたような状態になってました。何から手を付けるかわからなかったので、ぼうぜんとしていた

「小屋浦には緑が戻ることはないかも…」
悲しみの問芝さんを救ってくれたのは、堆積した土砂を取り除いて出来た「スマイル花だん」だった。

トイシバ電機・問芝恭子さん:
目の前が痛々しいので、土砂をどけようかってなって

この花壇は、小学生たちと問芝さんが一緒に始めた、未来への取り組みの第一歩。

トイシバ電機・問芝恭子さん:
こどもたちが何か関わりが持てることがあるといいなと。地域の人を笑顔にしたいという思いを持ってやってくれるので、うれしいですよね

6月末、2021年も地域を笑顔にする準備が始まった。
上級生の思いを引き継いだ小学校3年生と地域の人が協力して、苗を植える。
マリーゴールド、ミニひまわりなど、夏には花壇いっぱい花が咲く予定。

トイシバ電機・問芝恭子さん:
大きくなって、どんどん学年が変わって、(災害を)経験してない子が小学校入ってくるので、知っている子は覚えているので。これからも(花壇や防災を)意識しながら頑張ってもらえれば、みんなで頑張っている気がします

西日本豪雨から3年。災害がきっかけで始まった小屋浦に笑顔を取り戻す小学生たちの活動は、地域の人々との絆を今まで以上に強くする。

小屋浦キッズ防災士。
小屋浦のみんなの命を守るための活動は、始まったばかり。

(テレビ新広島)