いま、各地で起きている、大雨による被害。

熱海では7月3日、3日間にわたり雨が降り続いたものの、多くの人が避難できないまま、悲劇が起きました。気づかぬうちに高まる土砂災害の脅威。そこからどう身を守れば良いのでしょうか?

めざまし8では住民の証言から教訓を探りました。

「早く逃げて!」住民語る異変…声の掛け合いが必要

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不安定な空模様のもと、懸命な捜索活動が続く熱海。

めざまし8ではこの1週間、土石流が起きた当時、運命を分けた人々の行動を見つめてきました。7日、天達武史気象防災キャスターが被災現場を取材して見えてきたのは「避難することの難しさ」でした。

被災現場近くに住む女性
全然、音もしなかったし気がつきませんでした。部屋の中にいたから。警察の方が2人、裏の庭に入ってこられて「奥さん!避難するよ!」って見えたんです。でもその時もこの惨状は知りませんでした

こう話すのは、大量の土砂が押し寄せた逢初橋の近くに住む女性。

部屋の中にいて、音すら聞こえなかったという土石流。土石流には“地鳴り”や“腐った土の匂い“などの予兆があるとされますが、それを感じることの難しさがあるのです。

静かに忍び寄る脅威からどう逃げれば良いのでしょうか?素早く避難できた人の行動にはある“共通点”があります。実際に避難した人に話を聞くと…

避難した住民
「みんな逃げろー」って言って逃がしたら、今度は大きいのが来て。ここに川があって、その川のところで(土砂が)詰まってるのを見てたんですよ

数回にわたって発生したとみられる、熱海市の土石流。

男性は、初期段階で流れ込んだ小規模な土砂を目にし、避難行動をとったといいます。声を出し周囲に避難を呼びかけた男性。その後、大規模な土石流が一帯を飲み込んでいきました。さらに、先に異変を感じた人の叫び声を聞き避難できた人も…

住民男性
音は聞こえなかったが、周りの「早く逃げて!」という声が聞こえてきました。ただの雨ではないなと異変を感じて避難しました

予兆を感じづらかった今回の土石流。

そのような中で、多くの命を救ったのは、異変を察知できた近所の人による“声の掛け合い”でした。

土砂災害から身を守る“3つのポイント”

雨が降り続き気づけないうちに高まっていく土砂災害の脅威。そこから私たちは、どのように身を守ればよいのでしょうか?

天達気象予報士は3つのポイントを挙げました。

天達気象予報士
まず1つ目は、“最新情報をとる”ことが非常に大事です。大雨で災害が起きるときは何かしら情報が気象庁、自治体からも発表されます。このことに皆さんが敏感になっていただきたいところです。特に災害が多いのが7月8月9月であり、これから3カ月くらいは気象庁からの警報、自治体からの避難情報、これらに敏感になることが大事であると思います

天達気象予報士
2つ目は、“異変を感じる”ということです。これはもちろん声の掛け合いというのも1つなのですが、自分でもできれば「いつもとは違うな」という異変を感じ取っていただきたいのです。そうするには、日頃からこの身の回りがどういう場所なのか知ることが大事です。その後、例えば雨で土砂災害が起きる際に、崖の近くでは小石がパラパラ落ちてきたりですとか、水が噴き出してくる等の異変、これらは毎日みなさんが状況を見ていれば、その場所特有の異変が出てくるはずなのです

天達気象予報士
3つ目は、“必ず谷に横に避難する”ということです。一部手遅れであると言われる場合がありますが、最後の手段で逃げる時に、特に土石流の時は谷に沿って襲ってきます。これはいわゆる山津波と言われているように、津波が山から谷沿いに流れていくので、心理的には上から来るものに対して、下に逃げるのですがそれでは間に合いません。道がなかったらとにかく横に逃げる、隣の家があっても横に避難する。そうすれば谷の大きさにもよりますが、この数十メートルの幅の場合が多いですから、急いで逃げれば間に合う場合もあります

異変を感じとった人から声を出し、早いうちから避難を行動に移すこと。

命を守る行動が必要な瞬間は突然やってきます。そのときのためにいま考えておく必要がありそうです。

(「めざまし8」7月9日放送)