7月3日午前、静岡県熱海市で大規模土石流が発生し温泉地の光景を一変させました。不明者は多数にのぼり、現場では懸命の救助活動が続けられています。

発災前、避難は充分に促されていたのでしょうか。めざまし8の天達気象予報士は、今回の独特の雨の降り方を分析するとともに避難情報の受け取り方の課題を指摘しています。

避難指示と同レベルの「警戒情報」が出されていた

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天達気象予報士:
警戒レベル4の避難指示を出しておくべきではなかったのかという指摘があるが、その一歩手前の警戒レベル3の高齢者等避難が発表されていました。
また、気象台からはどこで崖が崩れてもおかしくないという土砂災害警戒情報も出されており、これは避難指示の「レベル4」相当にあたります。“全員が安全な場所に避難してください”というメッセージが出ていたのです。

“ジグザグ降水”が「避難指示」判断に影響か

天達気象予報士:
熱海市(網代)での7月1日から3日の降水量を見ると、1時間の雨量としたらそこまで降っていませんでした。実際、20㎜以下の雨が結構多く水溜まりが出来るくらいの雨でした。1時間あたりの降水量は決して桁外れではありませんでした。
しかし、3日午前中に一気に雨が降ったことにより、これがもしかすると土石流の一押しになってしまったかもしれない。降り方としては3日午前より前までは「普通の梅雨の雨かな」という感覚だったと思います。実は、ダラダラ3日間降り続いていて、3日午前10時まで72時間の積算雨量が375.5ミリと最多レベルに及んでいました。

また、静岡大学の防災総合センターの牛山素行教授は、「今回は短時間に多くの雨が降ったわけではなく2日から3日にかけて長時間の降水量が大きくなった降り方だった、非常に判断の難しい条件だった」と指摘しています。
避難指示を出すか否かの判断を迫られる自治体側には、避難所の設営や住民の仕事をストップさせてよいのかという苦悩が常にあるという意見もあります。

どう自分事に…発する側と伝える側にも責任

天達気象予報士:
避難指示と同じ“崖が崩れる恐れがありますよ”という情報は出ていたが、それを中々自分事として捉えることが難しかったように感じます。しかし、伝える側にも責任はあると思います。住民がどこで避難のスイッチを入れるのか。スイッチを入れるようにしっかりと発表するのか。当事者と発表する側、伝える側、今後こういうことがないようにどう避難行動に結びつける情報伝達ができるか。

天達気象予報士は、避難情報の伝達の仕方にも課題があると指摘します。それぞれの住まいがどのような場所なのか、まずは、地域のハザードマップで確かめたり、家族で話をするという避難行動に向けた一歩をいま踏み出しておく必要があります。

(「めざまし8」7月5日放送)