「地球最悪の侵略的植物」とも呼ばれる水草、“ナガエツルノゲイトウ”による被害がいま深刻化しています。これは、農作物や生態系への悪影響が懸念される特定外来生物です。めざまし8は長年、ナガエツルノゲイトウの被害に悩んでいる兵庫県・洲本市の池を取材。その繁殖力と危険性を調べました。

地元住民に危機感“驚異の繁殖力”

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一面に、芝生のように緑色が広がっています。

池を管理する住民組織役員 岡本賢三さん:
こんなにたくさん生えてるし、これ何とかしないといけないなと

ナガエツルノゲイトウの専門家 丸井英幹さん:
知る限りでは、(国内で)はるかに、これに及ぶ植物はないと思います

池を覆う、この植物は南米原産の多年生の植物「ナガエツルノゲイトウ」。その最大の特徴は「繁殖力」で、今、各地で繁殖が確認されています。駆除が追いつかないほど事態は悪化していました。

“ナガエツルノゲイトウ”駆除追いつかず…農作物に被害も

ナガエツルノゲイトウの専門家 丸井英幹さん:
目の前一本だけでも(簡単に)駆除ができない。根が深く、
末端まできれいに抜かないとほんの根っこが2ミリ残ったら再生する

水辺だけでなく、陸地や海でも育ち、引き抜いても土の中深くまで伸びる根っこがわずかでも残ると、そこからまた生えてくるというのです。
この池で「ナガエツルノゲイトウ」が確認されたのは去年の11月ごろ。数も少なく大半は枯れた状態だったいいますが、今年4月になると、池の6割が覆われた状態に。

池を管理する住民組織役員 岡本賢三さん:
私今農業やってるんですけども、これは畑に広がると、作物ができなくなりますよね。
ということは生活ができないということになりますんで、いま、抑えないと

ナガエツルノゲイトウの専門家 丸井英幹さん:
僕が見た限りでは(根っこの長さ)50㎝までは潜っているのは確認してます
全長は5メートルくらい行くと思います

水中ではどんな状態なのか。池の水中撮影を試みました。

一面に広がる緑の下には、水面から出ている部分よりもさらに長く、放射状に広がる根が広がっています。そして、それらの根が絡まりあい一つの塊に、水中では異様な光景が広がっていました。この「ナガエツルノゲイトウ」、駆除をするためにはハードルがあるといいます。

駆除した水草を運搬する過程で落ちた根や茎の一部からも繁殖する危険性があるため、完全に撤去することが難しいというのです。そこで今年4月、住民らと専門家は排水口付近のおよそ100平方メートルを光を遮るシートで覆い、光合成を妨げて駆除する方法を実行。
しかし、7日、池を取材すると。

遮光シートで覆った範囲では「ナガエツルノゲイトウ」が順調に腐敗し、駆除できていた。しかし、遮光シート範囲外の「ナガエツルノゲイトウ」は冬の寒さで節ごとに茎が断片化し爆発的にその数を増やし、水面を覆っていったというのです。

池を管理する住民組織役員 岡本賢三さん:
ちょっと、実はここに割り箸にリボンをつけていただいて
多分この周辺で草刈りをしてたとか、そういったものが飛んで、
入ったんだと思いますけどもね

池周辺の畑や草むらにまで広がっていたのです。
繁殖している場所を調べると、池の周り半径50メートルほどの範囲だけでも、
30カ所以上に及んでいました。

ナガエツルノゲイトウの専門家 丸井英幹さん:
人が使った道具とか車とか、農機具にくっついたものが農地から農地へどんどん広がっていくことはありますね

Q完全に駆除できた場所はあるのか?
ナガエツルノゲイトウの専門家 丸井英幹さん:
国内ではまだありません

もともとは南米の植物で観葉植物としても使われてたそうです。
知らずに池に捨ててしまったり、農機具や車などに付着し増殖を繰り返しているのかもしれません。すさまじい繁殖力を持つ『ナガエツルノゲイトウ』を一発で完全に駆除することは難しく、厳しい戦いが続くことになります。

(めざまし8 6月8日放送)