飲食店への時短営業要請が解除された1日、愛媛・松山市にある老舗のバーも営業を再開させた。
創業62年の歴史で初めての長期休業、再スタートを切った夫婦の姿を取材した。

62年の歴史で初…長期休業に

バーを切り盛りするマスターの露口貴雄さん(84)と妻の朝子さん(79)。
5月31日、松山市二番町にあるサントリーバー露口の店内で、翌日からの営業再開に向けて準備を進めていた。

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創業62年という歴史があるこのバーは、夫婦の優しい人柄と名物の角ハイボールが、長年 全国のファンを魅了してきた。

コロナで休業中も、朝子さんのスマホには店の再開を待つ全国のお客さんから多くのメッセージが寄せられていた。

妻・朝子さん:
「何日から?」なんてメールをいただいてね。「早くハイボールが飲みた~い」なんかいうてね

店が休業したのは松山市の飲食店に時短要請が出された4月1日。
休業中もいつでも店を再開できるよう、店の掃除は欠かさなかったという。

露口貴雄さん:
毎日早く開けたいという気持ちと、今ね自粛の時だし、我慢我慢という、そういう毎日でしたね

バー露口は、大阪で修行を重ねた貴雄さんが21歳の時にオープン。

その3年後、アルバイトとして働き始めた朝子さんと出会い、以来60年に渡って二人三脚で切り盛りしてきた。
2カ月もの休業は、バー露口の長い歴史の中で初めての経験。

妻・朝子さん:
こんなん、本当初めてよ。すごいね、2カ月も休んで

露口貴雄さん:
やっぱり飲み屋街からあかりが消えるってことは、本当寂しいです。何とか開けれたらね、あしたから

バーの周辺の繁華街では、2021年3月にクラスターが発生。営業再開にあたり、経営者としての責任も感じている。

露口貴雄さん:
もし店からそういう方を出したら、社会的な問題ですから。全部の経営者がそういう責任と自覚と、そこはやっぱ大事ですよ

マスターも常連客も待ちに待った再開

2カ月ぶりの営業に向け、バー露口のハイボールに欠かせないウイスキーが届き、準備も慌ただしくなってきた。

露口貴雄さん:
酒屋さんも大変やったよね、我々も大変やけど

酒店のスタッフ:
みなさん大変なんで、これは本当みんなで頑張っていくしかないですね

露口貴雄さん:
やっと本番かなって。本当、正直この日を待ってましたからね。長かったですよ

店内も感染対策としてカウンターの席の数を半分に減らし、アクリル板の仕切りも置いた。

露口貴雄さん:
氷の感触ね、1カ月ぶりぐらいですね。冷たいけど、あったかいね

そして、午後7時。開店早々、常連のお客さんがやってきて、さっそくマスターが腕をふるう。次から次へと常連客が訪れ、店は開店からわずか30分で満席に。
変わらぬちょっと濃い目のハイボールと、温かい夫婦の会話に酔いしれる。

妻・朝子さん:
うれしいね。みんなに会えてね。待ってくれとってありがたいね、私もうれしい

常連客:
家で飲むのと全然違うし、マスターと朝子さんの人柄の前で飲むのは2カ月間ずっと我慢してたんで、本当きょうはうれしいです

常連客:
やっと日常に一歩二歩近づいたなっていう気はしますね

妻・朝子さん:
もう楽しい!やっぱり元に戻った、戻ってくれたいう感じでね

露口貴雄さん:
お互い何とか元気でね、それが何より。こうしてお会いできてお客さんに。これ以上のことはないです

コロナ禍で新しいスタートを切ったバー露口。きょうも夫婦二人三脚で63年目の歴史を紡ぐ。

(テレビ愛媛)