“街のシンボル”のホタル

コロナ禍の影響で、ホタルの名所の多くが大々的なイベントを自粛している。そんな中、豪雨で激減したホタルを増やし、“灯”を未来につなげようと活動している女性がいる。

福岡・八女市上陽町。町内を流れる星野川は、清流として広く知られている。

清流として知られる星野川(福岡・八女市上陽町)
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その流れの傍にたたずむのは、「ほたると石橋の館」だ。

ほたると石橋の館(福岡・八女市上陽町)

館長を務めるのは、内田理絵さん。

ほたると石橋の館・内田理絵館長

内田さんが最近の日課にしているのは…

ほたると石橋の館・内田理絵館長:
産んでくれてます。ここのガーゼの黄色い部分、丸い粒々が見えるのがホタルの卵です。毎朝来て、楽しみに見てます

ホタルの卵

ホタルが産んだ卵を確認する内田さん。ホタルは、一晩かけて500個から1,000個の卵を産む。

提供:ほたると石橋の館

星野川のすぐ側、ホタルが産卵するせせらぎ水路。

ほたると石橋の館・内田理絵館長:
食欲旺盛なカワニナたちです

巻貝の一種「カワニナ」は、ホタルの幼虫の食べ物。キャベツの芯だけ残し、順調に育つカワニナに、内田さんは満足げな様子だった。

巻貝の一種「カワニナ」

ほたると石橋の館・内田理絵館長:
ホタルは、星野川に架かる石橋に並んで、上陽のシンボルだと思う。たくさん飛んでくれていると、うれしくなりますね

2012年の豪雨で生息数が激減

15年ほど前、星野川の夜の風景を映した1枚の写真。数えきれないほどのホタルが光を身にまとい、乱舞している。

多くのホタルが乱舞する星野川の夜景

しかし、9年前にこの地を襲った出来事をきっかけに、初夏の風景は一変してしまった。
2012年7月、九州北部を襲った豪雨。ホタルが住む星野川も氾濫し、せせらぎ水路にも濁流が流れ込んだ。

九州北部豪雨(2012年7月)

ほたると石橋の館・内田理絵館長:
水が枯れてしまったような状態で、ホタルを全く見ることができなかった

提供:ほたると石橋の館

街のシンボルのホタルは、豪雨で激減した。

増え始めたホタル…子どもたちと復活に取り組む

かつての風景を取り戻そうと、豪雨の翌年に結成されたのが「上陽ほたるの会」だった。

内田さんも事務局長として携わり、地元の小学校にも幼虫を育ててもらうなど、子どもたちも巻き込んでホタルの復活に取り組んできた。

提供:ほたると石橋の館

そして…午後8時前、暗闇に浮かぶ淡く優しいホタルの光。
豪雨の前ほどには及ばないものの、幼虫の世話をしてきた児童がすぐに見つけられるほど、その数は着実に増え始めた。

暗闇に浮かぶホタルの光

ホタルを見に来た子ども:
ホタルいた

子どもの母親:
「育ててくれて、ありがとう」ってきてくれよるよ

ほたると石橋の館・内田理絵館長:
続けていくことは簡単なようで難しいと思うが、将来、また上陽にずっとホタルが飛び続けるように、みんなで頑張っていきたいと思います

少しずつ戻り始めた上陽町のホタルの光。
内田さんたちの思いに応えるように、その光は静かに輝き続ける。

(テレビ西日本)