下がりきらないまま…

「新規感染者数が十分下がりきらないまま、変異株の影響もあり高い値で推移している」

東京都のモニタリング会議では新規感染者数の7日間平均が前回の588人から485人に減ったが、増加比は83%で減少スピードはほぼ横ばい。変異ウイルスの影響もあり、高い値で推移している、との分析が示された。

大曲貴夫国際感染症センター長
大曲貴夫国際感染症センター長
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「人と人との接触機会の増加は感染の再拡大を招く」

国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、基本的な対策の徹底の必要性を強調した。

変わらず20代から40代が6割

年代別にみると、これまでの変わらず20代から40代が多く、全体の60%を占めている。感染経路も、これまでと変わらず家庭内感染が最も多く50.7%、次いで高齢者施設、病院、学校などの施設内感染が16.3%、職場内感染が15.8%だが、職場と施設内感染の割合が再び上昇した、とのことだった。

絶え間なく対応に追われ…

「絶え間なく新型コロナウイルス感染症への対応に追われており、負担が長期化している」

東京都医師会の猪口正孝副会長はさらに、重症者数が高い値で推移しており、増加の兆候を見逃さないようにと警鐘をならした。

N501Yに置き換わった

「流行の主体が感染力の強い変異株N501Yに置き換わった」

また、スクリーニング検査の結果、全体の82.6%が感染力の強いN501Yであること、さらにインドから始まり海外で増加している変異ウイルス・デルタが都内で28例確認されていて、デルタの置き換わりに向け監視体制の強化に着手したということだ。

新型コロナウイルス
新型コロナウイルス

新たな変異ウイルス「C36」も

さらに、先月中旬に北アフリカ地域から帰国し、インドで最初に発見された変異ウイルスの感染が確認された50代男性について、その後の検査でこれまで国内で確認されていない新たな変異ウイルス「C36」の疑いがあることも分かった。

都は、国とも連携しながら、ゲノム解析を進める考えだ

午後8時以降の人出が増加

「ハイリスクな夜の滞留人口を抑えるのが重要」

一方、都内繁華街の人出は緊急事態宣言3週間目から5週間目まで、3週連続で増加。

夜間が25%、昼間は19%増加し、特に午後8時以降の人出の増加が目立つということで、東京都医学総合研究所・社会健康医学研究センターの西田淳志センター長から、早い時期のリバウンドに強い警戒感が示された。

小池知事は「強く、強く、強く」

小池百合子都知事
小池百合子都知事

「外出自粛、強く、強く、強く、お願い申し上げます」

小池知事は「強く」を3回繰り返し、不用不急の外出、都県境を超える外出を控えるよう改めて呼びかけた。

「ワクチン効果現れるにはまだ時間が…」

東京都の新規感染者数の7日間平均は、6月3日に475.3人となり「感染爆発段階」のステージ4から「感染急増段階」のステージ3に改善している。

また職域接種(=職場などでのワクチン接種)など、高齢者だけでなく幅広くワクチン接種への動きを加速させようとしている中、ある政府関係者にワクチン効果がいつごろから現れるのか聞いたところ、「やはり(全体の)5割くらいが打たないと顕著な効果はでてこないと思う。だから社会全体にひろがるまではまだ時間がかかる」と話していた。

ワクチン接種が進む前にリバウンドを起こさないよう、我慢の時はもうしばらく続く。

(執筆:フジテレビ社会部 都庁担当 小川美那)

小川美那
小川美那

「お役に立てれば幸いです」 見てくださる皆さんが“ワクワク&ドキドキ”しながら納得できる情報をお伝えしたい! そのなかから、より楽しく生き残っていくための“実用的なタネ”をシェアできたら嬉しいなあ、と思いつつ日々取材にあたっています。
フジテレビ報道局社会部記者兼解説委員。記者歴20年。
拉致被害者横田めぐみさんの娘・キムヘギョンさんを北朝鮮でテレビ単独取材、小池都知事誕生から現在まで都政取材継続中、AIJ巨額年金消失事件取材、TPP=環太平洋経済連携協定を国内外で取材、国政・都政などの選挙取材、のほか、永田町・霞が関で与野党問わず政治・経済分野を幅広く取材。
政治経済番組のプログラムディレクターとして番組制作も。
内閣府、財務省、金融庁、総務省、経産省、資源エネルギー庁、農水省、首相官邸、国会、財界(経団連・経済同友会・日商・東商)担当を経て現在は都庁担当。