鹿児島県内の病床占有率が高まっている中、医療関係者らは、高齢者施設でクラスターが発生すると医療崩壊が起こりかねないと懸念している。
近距離での会話などが避けられない高齢者介護の現場の対策を取材した。
ソーシャルディスタンス対策が困難な現場では…
看護師:
お話をされる時には、マスクの着用をお願いします
鹿児島市草牟田2丁目の介護老人保健施設。

ここには、80代から90代の高齢者約50人が通っていて、入所者は70人以上だ。
耳が遠いお年寄りや、歩くのに補助が必要な人も多く、ソーシャルディスタンスを保つことは困難となっている。

この施設で感染対策の指揮を執るのは、前永和枝看護部長だ。

まろにえ介護老人保健施設・前永和枝看護部長:
スタッフもやっぱり気が緩むところが出てくるので、そこを引き締めていく
前永さんは、感染対策に関する高度な専門知識を持つ「感染管理認定看護師」で、県内の介護施設や医療機関にもアドバイスを行っている。

「基本的な対策」を徹底 入浴介助も注意
前永さんが強調するのは、「特別なこと」ではなく、「基本的な対策」の徹底だ。

例えば、換気については、常時窓を開ける以外にサーキュレーターを使い、消毒については、職員がそれぞれ消毒液を持ち歩き、利用者と接するごとに手を消毒する。

まろにえ介護老人保健施設・前永和枝看護部長:
手洗いにしてもマスクにしても、「着けました」、「洗いました」ではなくて、正しく洗えているか、正しくマスクを着けているかが本当に大事

介護施設や医療機関用に県看護協会が作ったコロナ対策のチェックリスト。

手指衛生やマスク、食事など7項目あるが、この中で前永さんが特に注意を呼びかけるのが、「入浴介助」だ。

マスクはつけていても、目の保護をしていない施設も多いという。
まろにえ介護老人保健施設・前永和枝看護部長:
入浴(介助)に入る場合には、必ず粘膜の保護をしないといけない。粘膜は目と鼻と口とある。利用者がマスクをしていないので、自分たちを守るためでもあり、利用者を守るためでもある

県内で感染が急拡大する中、お年寄りと施設を守り抜くための必死の取り組みが続く。
(鹿児島テレビ)