コロナ患者急増…ブレーキかけるには“手遅れに近い”

岩手県内で新型コロナウイルスの患者が急増している現状について、県の専門委員会の櫻井滋委員長は「すぐには減らせない状況だ」と強く警鐘を鳴らしている。「県民の行動の結果であり、対策の必要性を強く認識してほしい」と呼びかけている。

県新型コロナ専門委・櫻井 滋委員長:
来るべき時が来たという印象。その予測通りになっているというのが、私の率直な感想です。おそらく(すぐには)減らせないですね。つまり、ブレーキをかけるなら、もっと前にかけておかなければいけないです。これは、実はすでに手遅れに近い状況です

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県内の新規患者数は大型連休に入ってから5月5日を除いて、連日2桁の発表が続いている。死者の発表も5月に入ってから8人に、累計では39人にのぼっている。(5月13日時点)

特に盛岡市では、直近1週間、人口10万人あたりの新規患者数は、「19.2」とステージ3の指標の「15」を超えている。

県新型コロナ専門委・櫻井 滋委員長:
岩手県の中で盛岡だけがそうなっているのかというと、盛岡がたまたまクラスターが多いために検査がたくさん行われる。それで数値が出ている。これを全県民にやれば、そんなに変わらないと思う。盛岡のふりを見て周りが先々に手を打たないと。「うちはまだ大丈夫だから、宴会しよう」というのは最悪になる

患者急増の背景に飲食店での感染

盛岡市では、患者の急増の背景に飲食店での感染の広がりが指摘されている。

県新型コロナ専門委・櫻井 滋委員長:
飲食店にはちゃんとパーティションや手指消毒薬が置いてあったとしても、「じゃあ2軒目行こう」って言った道すがら、マスクをはずして大声でしゃべりながら、たばこを吸いながら歩く、そういう大人がいるということが問題

櫻井委員長は、対策の意味や必要性をしっかり認識してほしいと県民に訴える。

県新型コロナ専門委・櫻井 滋委員長:
政府は「大型連休の間もステイホームしてください」と言っていたが、それが最初の緊急事態宣言の時に比べると、まったく効力を持っていない。掛け声だけに終わってしまっているということが問題。感染対策も3密を回避というのは、キーワードでしかなくて、1つ1つがきちんと理解されていないということだと思う。例え理解したとしても、何かしらの都合、お祝い事があるとか、同窓会があるとか、スポーツ大会があるとか、そういったイベントに絡んで原則が忘れ去られる

「病院が早晩いっぱいに」…県民1人1人の意識向上が重要

今後について、櫻井委員長は厳しい見通しを示している。

県新型コロナ専門委・櫻井 滋委員長:
おそらく病院が早晩いっぱいになる。特に岩手県は医療機関が少ないので、ベッドがなくなる。ベッドがないとホテルに行く。ホテルに全部収容したとしても、今度は見守る人が足りなくなる。県の方針・国の方針ではコロナに感染された方は、いわゆる「隔離保護」をやりますので、まずその考え方を少し緩和する時期が来るのではないか

櫻井委員長は個人的見解としたうえで、「クラスターが発生した施設では、患者を転院させずに、医師などを派遣する。症状が軽い人は、自宅で療養してもらうなど、考え方を変えていく必要があるかもしれない」と話している。

そして、感染増加を食い止めるには、県民1人1人の意識の向上が重要と強調している。

県新型コロナ専門委・櫻井 滋委員長:
最初にやった3密の意味をきちっと、手洗いの意味をきちっとわかる。皆さん1人1人ができること、振る舞いが問題だと申し上げたい

(岩手めんこいテレビ)

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