スマホやクレカなどのキャッシュレス決済を使いこなしている人は多いだろうが、次の時代は手ぶらで決済をするのが当たり前になるかもしれない。そんな次世代型の決済ができる自動販売機の設置が始まった。

出典:ダイドードリンコ
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マスク着用でも認証可能

ダイドードリンコ株式会社が4月26日、顔認証決済サービス「KAO-NE」(カオーネ)を導入した自販機の本展開を発表したのだ。

「KAO-NE」を利用するには、あらかじめスマホなどで顔写真・クレジットカード情報・メールアドレス、さらに購入時に自販機へ入力する数字4桁のパスコードを登録する必要がある。購入する際には、まず商品のボタンを押して選択し、自販機に付属の端末で顔認証、そしてパスコードを入力することで決済が完了し、商品が出てくる。

顔認証決済サービス利用手順 出典:ダイドードリンコ
顔認証決済サービス利用手順 出典:ダイドードリンコ

なお「KAO-NE」にはNECの生体認証技術が使われており、コロナ禍の必需品であるマスクを着けていても顔認証が可能。実は昨年の実証実験では、マスク姿では認証できなかったが、「マスクをしたままで買えるとさらに良い」「認証までの時間が少し長い」などの声を受け、スピードや精度も含め改善したという。

ダイドードリンコはこの取り組みによって、オフィスや工場・病院内などで財布やスマホをを持ち歩かずに済む「圧倒的な便利さ」と「快適な環境」を提供するとのことだ。この「KAO-NE」を導入した自販機は、同社の大阪本社や工場、NEC本社などに2000台を目標に設置するという。

財布やスマホを忘れたことに自販機の前で気付き、取りに戻った経験がある人はいるだろう。そのようなことがなくなる、この手ぶらで買える便利さは分かるが、顔写真などでの「なりすまし」で悪用されることはないのだろうか?

さらに顔認証自販機の「次」はどうなるのか? 担当者に聞いてみた。

あらゆる環境下で高精度の顔認証が可能

――どうやってマスク姿で顔認証している?

元々コロナ禍よりも前から検討していたため、マスク着用は想定していませんでした。しかし昨年の実証実験を経て、マスク着用のニーズも高いことが判明し、その認証を加えた次第です。

当社が協力いただいているNECの顔認証の仕組みは、「顔を見つける(検出)」「顔の特徴を捉える」「特徴から人物を照合する」という3つの技術要素で構成されており、顔の向きや表情、照明の角度など、様々な環境下でも精度の高い認識が可能となっています。


――写真などで「なりすまし」はできないの?

なりすましができないよう、顔とパスコードの2要素認証としております。


――マスクに対応した「KAO-NE」の評判は?

今後本展開してまいりますので、利用されるお客様の反応は分かりませんが、ニーズは高いと考えており、喜んでいただけるものと期待しております。


――顔認証自販機は今後どんな進化をする?

顔認証というデジタル技術の活用を決済のみにとどめず、様々な便利なサービス・面白いサービスとの連携をすることで自販機や自販機を取り巻く環境のイノベーションにつなげたいと考えています。
 

キャッシュレス派からすると利用してみたい自販機となりそうだが、現在はダイドードリンコの社内などでの導入となる。身近な場所に設置された際には手ぶらでの購入を試してみてはいかがだろうか。
 

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プライムオンライン編集部
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