岡山・和気町の高校球児が、障害者野球の選手のために専用のグローブの開発に取り組んでいる。同じ白球を追いかける仲間たちとの絆で、世界でただ1つのグローブを作る。

「岡山桃太郎」箕輪遥介さん:
前よりも軽くてめっちゃいいです。前使ってたグローブがだいぶ重くて使いづらかったので、自分のために作ってくれてありがたい

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新しいグローブの試作品。目を輝かせるのは、この春から高校生になった箕輪遥介さん。障害があっても野球を楽しみ、自分ができる精一杯のプレーをする「障害者野球」。
箕輪さんは3年ほど前、岡山県の障害者野球チーム「岡山桃太郎」に入団し、レギュラーを目指して日々、練習に励んでいる。

思うように動かない親指

「岡山桃太郎」箕輪遥介さん:
親指のこの動きが出来なくて…

実は箕輪さんは生まれつき末梢神経の障害があり、一般的なグローブでは力が入らず、ボールをうまく受け取ることができない。
開発に取り組んでいるのは、「岡山桃太郎」と試合などで交流を続けてきた岡山・和気町の和気閑谷高校の野球部員たち。

2020年の春には、「岡山桃太郎」のエースで、世界大会でMVPにも選ばれた早嶋健太さんに専用のグローブを贈った。
左手でグローブが持てない早嶋さんのために、小さな袋のついた専用のグローブを作った。

早嶋健太さんに贈ったグローブ
早嶋健太さんに贈ったグローブ

「岡山桃太郎」箕輪遥介さん:
和気閑谷(の高校生)が考えてくれていいなと思って

"思い"に応える高校球児と職人

いつもおとなしい箕輪さんが伝えた思い。
その熱い思いを受けて、生徒たちは箕輪さんのためのグローブを考えることにした。

和気閑谷高校野球部・藤原鉄朗さん:
自分は、手口の所をバンドで止めたら固定されて、外れないとアイデア出しました

和気閑谷高校野球部・石野翔大朗さん:
柔らかくしたら勝手に閉じる感じ

生徒たちの熱意に打たれた職人の森川徹也さんも、製作に協力してくれた。

TAKAGISPORTS・森川徹也さん:
ボールが逆シングルできた時に、ボールが入って力が入らないと落ちてしまうので、ここに止まるようにした

使い心地を確認しながら最終調整。

「岡山桃太郎」箕輪遥介さん:
すごい。ほんとに動かないので

TAKAGISPORTS・森川徹也さん:
人差し指も動いた方が…

和気閑谷高校野球部・藤原鉄朗さん:
自分の意見が採用されるのはうれしい

和気閑谷高校野球部・石野翔大朗さん:
こういう人たちは、日本にたくさんいる。そういう人たちにも知ってほしいし、使ってほしい

TAKAGISPORTS・森川徹也さん:
自分たちのアイデアで、障害者のために使いやすいグローブを考えようと、純粋に考えているので、できる限りアイデアを形にできるように頑張ろうと思う

箕輪さん専用の世界でたった1つのグローブは、まもなく完成。

「岡山桃太郎」箕輪遥介さん:
日々の練習からしっかりして、レギュラー取れるようにがんばりたい

高校球児たちのエールを受けて、箕輪さんは、障害者野球日本一を目指す。

(岡山放送)

岡山放送
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