一夜限りの「流れ星新幹線」 打ち上げ花火との競演も…九州新幹線全線開業から10年
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一夜限りの「流れ星新幹線」 打ち上げ花火との競演も…九州新幹線全線開業から10年

テレビ西日本
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3月12日、全線開業から10年を迎えた九州新幹線。
九州新幹線は、福岡県にどのような効果をもたらしたのか。
朝7時すぎ、鹿児島からの始発の新幹線が久留米駅のホームに滑り込む。

新幹線で進路が増えた学生たち

車から降りてきたのは九州屈指の進学校、久留米大付設中3年の宮之原清華さん。

久留米大付設中3年・宮之原清華さん:
ここからバスに乗り換えて、学校の最寄りのバス停まで行きます

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鹿児島市に住む宮之原さんは毎朝5時ごろ起床し、九州新幹線を利用して通学している。片道2時間半。定期代は1カ月約10万円かかるが、それでも新幹線通勤を選んだ理由は…

久留米大付設中3年・宮之原清華さん:
九州からいろんな人が集まってくる学校で、レベルの高い授業を受けたかった

2013年から男女共学化した久留米大付設中学。
女子寮はなく、下宿も認められていない。全校生徒483人のうち、1割近い42人が新幹線通学。その数は年々、増えているという。

博多から新幹線通学・中学3年生 内田大道くん:
なるべく遅めに朝起きれるように新幹線にしています

博多から新幹線通学・中学3年生 萱島孝太郎くん:
睡眠をとってよく寝たほうが、知識も身につくと思っているので

ーー新幹線がなかったら選んでいなかった可能性はある?

北九州から新幹線通学・中学3年生 森菜々子さん:
ありますね。近くにも何校かあって、何校か受けたんですよ。だから多分そっちに行っていた

生徒の進路の幅を大きく広げた九州新幹線。学校側も効果を実感している。

久留米大学付設中学校・高等学校 白水孝典教頭:
女子の通学圏が新幹線開通によって拡大している。選択肢が増えて、温かい家庭の愛情に育てられながら通学できるという、中学生にとっては大きなメリットがある

東日本大震災の翌日に全線開業した九州新幹線。

一番列車出発時の記者リポート:(2011年3月12日)
午前6時10分です。九州新幹線、博多始発の一番列車が今、出発します

華やかな記念行事は、全て中止となり、ひっそりとしたスタートとなってしまったが、新たな大動脈の開通は九州、特に福岡に大きなインパクトを与えた。

街の活性化…人口が右肩上がりに

九州経済調査協会・大谷友男さん:
非常に商圏が大きくなるということで、福岡のマーケットが各所から注目されるようになり、相乗効果で福岡に人が集まる、モノやサービスが集まる効果を生んだ

なかでもJR久留米駅周辺は、高層マンションやホテルの建設が相次いでいる。中心市街地の人口もほぼ横ばいだったのが、新幹線の開業後、右肩上がりに増えている。

九州経済調査協会・大谷友男さん:
九州一円でビジネスをされているような方が、そこに住まれて色んな所に出張で出かけるために駅の近くを選ぶ。地域のインフラには極めて大きなインパクトがある

久留米駅の1つ隣、筑後船小屋駅に近い船小屋温泉。
宿の支配人、日野泰治さんも新幹線効果を実感している1人。
年間4万人ほどだった利用客が開業後は6万人に増加し、老朽化していた部屋を改装し客の誘致に力を入れている。

ところが、新型コロナウイルスの感染拡大で状況は一変。

筑後船小屋公園の宿・日野泰治支配人:
去年の今ぐらいから毎日、キャンセルの電話、キャンセルのファックスが流れてきて(今も売り上げが)9割減までいっています

新幹線を使って訪れていた外国人観光客はゼロとなった。

筑後船小屋公園の宿・日野泰治支配人:
せっかく(明るい)見通したって、やっといい流れができてきて、その中で、今後どう回復して、どうこれから攻めていくか、そこは毎日考えるところですね

これまで概ね右肩上がりだった九州新幹線の利用客。
2020年度は、旅行や出張の自粛で約半分に落ち込み、厳しい状況に置かれている。

九州経済調査協会・大谷友男さん:
オンラインで代替されるものは、より代替は進む部分はあると思うが、五感で感じる部分や実際のリアルでのやりとりを重視する部分はゼロにはならないと。それを実現するための新幹線が生きてくる部分はあると思う

一夜限りの思いを乗せた特別運行

3月14日、夕方のJR鹿児島中央駅。
出発を待つのは一夜限りの特別運行をする「流れ星新幹線」。
車体には大きな流れ星が描かれ、全国8,000件を超える応募の中から選ばれた、777の願いごとも添えられている。

鹿児島を出発した列車は、本物の流れ星さながらに、色とりどりの光を放ちながら博多を目指す。
それを可能にしたのが、車内に持ち込まれた特殊な照明機材。4カ月以上も試行錯誤を重ねて光の演出を完成させた。

熊本では沿線の高校の生徒や教師、約300人が願いごとを書いたランタンを飛ばし、流れ星新幹線と光の共演をした。

そして福岡・筑後市の広場では、ビューイングイベントが行われていた。
筑後船小屋駅に近い公園で開かれたイベントには2,000人以上が訪れ、配られたキャンドルにそれぞれの願いごとを書いて列車を待った。

訪れた男の子:
早く、ばあばに会いたいです

ーーなんで会えないかな?

訪れた男の子:
コロナで…

午後8時。
すっかり暗くなった会場に、流れ星新幹線がやってきた。
列車がゆっくり停車すると、音楽に合わせて光のショーがスタート。
放たれた七色の光が晴れた夜空を彩り、打ち上げ花火との競演がフィナーレとなった。

子どもたち:
楽しかったです。綺麗だった

訪れた女性:
感慨深いのはあるかなーと。ほんとにみんなの願いが叶えばいいのにと思って、じんときちゃいました

幸せを願う日本中の思いを乗せて走った「流れ星新幹線」。
新型コロナの影響が長引く中、九州の夜空を照らす一筋の希望の光となった。

(テレビ西日本)

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