入学に引っ越しなど、新生活の準備が本格的になる季節。何かとお金がかかるが、懐にも環境にも優しい「リユース」への注目度があがっている。
家具に自転車、食品まで。賢くお得に利用できるリユース最新事情。

「3年間しか着ない」から制服リユース

札幌市中央区にあるボランティア団体が運営するリサイクル施設「ECO カフェ マイカップ」。

ECO カフェ マイカップ・石塚祐江さん:
ここが制服リユースのコーナー。札幌市内の高校と桑園学区の3つの中学校の制服を扱っています

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ここでは、市民から持ち込まれたリユース品を展示・販売している。
特に着物は、常時3,000着ほど所蔵。希望者には、1着100円からの低価格で譲っている。
しかし着物ばかりではない。この季節注目されるのが、中学や高校などの制服。

ECO カフェ マイカップ・石塚祐江さん:
学生服は3年間しか着ないので、とてももったいない。まだ着られる制服を寄付してもらい、制服をリユースする仕組み

ジャケットにズボンやスカート。ワイシャツやリボンなど、1つ200円の寄付をすることで保護者にゆずっている。

ECO カフェ マイカップ・石塚祐江さん:
せっかく買った制服が、半年で着られなくなる。あと1か月で卒業なのに卒業式に着るには厳しい、などで子どもの制服を探す親が利用する

ぐんぐん体が大きくなる成長期の子どもたち。
その度に制服を買い替えるのはバカにならない、と制服リユースを利用する親が多いそう。

今春、中学生になる息子を持つミューア世衣良さん:
制服にトレーニングウェア。上靴、夏服で、10万円弱ですかね

中央区に住むミューア世衣良(せいら)さんも利用者のひとり。
4月に息子のミューア永伝(えいでん)さんが中学校に入学するが、すぐに転校する可能性が高かったため。

今春、中学生になる息子を持つミューア世衣良さん:
転校することになった場合、1~2カ月通うだけだが制服は必要かと

そこでたどり着いたのが制服リユースだった。制服一式そろえてわずか800円。

この春中学生・ミューア永伝さん:
着心地は良いし、悪い所はあまりない

今春、中学生になる息子を持つミューア世衣良さん:
ジャケットとズボンなどで3万5,000円くらいするが、買うところだったのですごく助かってます

この施設で取り扱っているのは、周辺の桑園地区の中学校の制服だけ。
ボランティアで行なっているため、市内全ての学校には手が回らないのが実情。

ECO カフェ マイカップ・石塚祐江さん:
地域ごとに制服リユースが広がってもらえれば、学区ごとに拠点を設け、常設すれば制服リユースはもっと広がると思う

また、新生活で必要になる学習机などの家具や、子どもの自転車もリユースならとってもお得。札幌市厚別区にある、市が運営するリサイクル施設「札幌市リユースプラザ」。

札幌市リユースプラザ・忍和歌子館長:
ソファやイスが置いてあります。常時300点くらい展示。この学習机は、1式で2,800円です

ここでは、リユースを希望した市民からの大型ごみの中で、再利用可能なものを洗浄・点検し格安で販売している。テーブルなどの家具のほか、ベビーカーや子ども用の遊具まである。

札幌市リユースプラザ・忍和歌子館長:
子どもが大きくなると遊具は不要になってしまう。それを洗って販売し、別の人に使ってもらう

この季節、特に引き合いが多いのが自転車。月に2回、抽選販売が行なわれるほどの人気。
1台5,000円~6,000円(保険・防犯登録料込み)で西区発寒の整備工場でブレーキやライトなどもしっかり修理しているので、安心して利用できる。

パンやビザなど廃棄食品もリユース

札幌市中央区の「プラスフード」事務局の入り口にずらりとならんだ、大手食品メーカーのパン。
それを「あるシステム」の利用者が受け取りに来る。

プラスフード・田尻敏憲さん:
これは本来は残念ながら、廃棄されていたパンです

食品リユースの利用者:
以前パンの店で働いていた。売れないものがどんどん捨てられ、もったいないと思っていた

食品工場や飲食店で出た余剰品を、スマホを使って販売するシステム「プラスフード」。2020年1月に始まった。
利用者が例えば月に1,078円を支払うと、食品工場などから出た余剰品の情報がスマホに届き、月10回まで欲しいものを店などに直接取りに行き受け取る仕組み。

プラスフード・田尻敏憲さん:
1回の受け取りで平均500円分の商品を受け取れる。惣菜や食品工場の過剰生産分や、キャンセルが出た品物を出品。農家の場合、出荷はできないが食べられる野菜や果物を出品しています

市内の有名なパンの店や、宅配寿司店で出たキャンセル分の酢飯などが出ることもある。
170店舗以上が加盟していて、店にも出品するごとに料金が支払われる。

こちらは清田区のカフェ「雑貨・軽食SOYA」。2020年6月、プラスフードに登録し、売れ残った手作りパンを出品している。これまで売れ残りは老人福祉施設などを訪れ、安く販売していたが、それができなくなったため。

雑貨・軽食SOYA 内山礼二さん:
新型コロナウイルスの関係で部外者の立ち入りができなくなった。ロスになる物をプラスフードの会員に配るようになり、ロス自体は減ってきました

捨ててしまえば、ごみ。でもリユースなら懐にも環境にも優しいメリットがある。これからも注目度は高まりそう。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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