東日本大震災から来月で10年。あの日、多くの幼い子供たちも津波や火災の犠牲になった。
救えなかった命の教訓を忘れまいと活動を続ける母親の想いを取材した。

6歳の長女を亡くした母親

佐藤美香さん:
ここは娘たちが見つかった被災現場です。

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佐藤美香さんは、10年前のあの日、長女・愛梨さんをこの場所で亡くした。

まだ6歳だった。

佐藤愛梨さん

佐藤美香さん:
愛梨には「ママが必ず守ってあげるからね」というようなことをよく話していたのですけど、守ってあげられなかった…

愛梨さんは海から約1㎞離れた高台にある宮城県石巻市の幼稚園に通っていた。
地震発生直後、幼稚園は園児たちを帰宅させようと12人の園児を乗せ、海側に向かってバスを発車。海沿いに住む園児7人を送り届け、園にひきかえそうとした際、津波とその後の火災に巻き込まれ、愛梨さんを含む5人が犠牲になった。

佐藤美香さん:
幼稚園は津波の被害はなかったので、そこにさえいれば助かった命。

裁判では2014年、幼稚園側が法的責任を認め和解が成立。しかし、母親の美香さんは「なぜあの日、娘を幼稚園に行かせてしまったのだろう」と自分を責めることもあったという。

愛梨さんが着るはずだった制服を着て登校

愛梨さんの3つ年下で現在中学1年生の妹・珠莉さん。
お姉さんが着るはずだった制服を着て中学校に登校している。

愛梨さんの3歳下の妹 佐藤珠莉さん

佐藤珠莉さん
刺しゅうの所にお姉ちゃんと自分の名前が2つ並んでいる制服です。(姉に)普通の学校生活を見せてあげられたらいいなと思います。
 

「ただいま」の声がいまだに聞けていません

母親の美香さんは時には珠莉さんもともない、全国の子どもや教育者に自らの体験を語る活動を行っている。

佐藤美香さん:
「行ってきます」と出ていき、「ただいま」の声がいまだに聞けていません。私はこんなにも幸せな言葉だったんだなと気づきました。

全国の子どもや教育者に自らの体験を語る活動をしている

美香さんの話を聞いて子どもたちは、「今続けている“ただいま”と”おかえり”をこれからもずっと言っていきたい」と語った。

「ちゃんと備えてね」と言われているような気が

東日本大震災からまもなく10年。2月13日には当時のことを思い出させるかのように福島県沖で地震が発生した。
 

佐藤美香さん:
(東日本大震災のことを)忘れないでね、ちゃんと備えてねと言われているような気がしました。改めて防災について考えるきっかけにもなったのではないかと思いますし、家族で話し合うきっかけにも繋がったのではないかと思いますが、そうあってほしいとも思います。

「二度と同じ悲劇を起こしてはならない」母親の美香さんは、防災と命の大切さについて伝え続けている。

(「Live News days」2月23日放送分より)