63歳からの再出発…全焼した老舗豆腐店が再オープン

2020年8月に火事で全焼した愛知・岡崎市の老舗豆腐店が、取引先の知人が中心となってクラウドファンディングで資金を集めるなどして再建され、2021年2月11日、オープンした。

この店の寄せ豆腐は糖度が高く甘いと評判で、初日は1時間で完売。好調なスタートを切った。80年以上続く老舗の職人は再出発するとともに、その味を次の世代に引き継ごうとしている。

岡崎市稲熊町にある「旬の魚と釜飯 魚信」の駐車場スペースに11日、わずか4坪ほどの豆腐店がオープンした。

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「4代目原田豆腐店」は、甘くておいしいと評判だった「原田豆腐店」の新店舗で、この日は近所の人らで賑わい、名物「寄せ豆腐」(税込330円)は100丁が約1時間で完売。好調なスタートを切った。

元々「原田豆腐店」は別の場所で約80年前に創業し、学校給食や地域の飲食店などに手作りの豆腐を卸してきたが、2020年8月に店が火事に見舞われ全焼し、一旦は閉店。

閉店した店の経営者は原田学喜さん、63歳。原田さんが作る豆腐は一般的な豆腐より糖度が高くてファンも多く、これを「絶やしてはいけない」と、長く取引をしてきた「魚信」の経営者、西田耕一さん(53)がクラウドファンディングで工房設置のための支援を呼びかけた。

約900万円の費用のうち、300万円をクラウドファンディング「キャンプファイヤー」で募ったが、最終的には480万円を超え、無事、再出発。

原田さんは勘を取り戻そうと、オープン前日まで「自分の豆腐作り」を突き詰めていたが、この日は納得いくものができたと満足感や安堵感が入り混じったような表情を見せた。

原田さんが作った豆腐を温めた「釜豆腐」をいただくと、口の中に甘さやまろやかさが広がる。薬味がなくても最後まで楽しめる絶品だった。

支援した西田さんはこの日を迎え、「オープンを聞いてたくさんのお客さんに来てもらえた。原田さんの豆腐をたくさんの人に愛されていると感じた」と喜んだ。

この原田さんの豆腐作りを受け次ぐのは、「魚信」の店長・田口信一さんと西田さんの次男・京介さんだ。京介さんはまだ原田さんに付いて1週間余り。「今は不安」と話すが、原田さんは「自分と同じ味を作るのは無理だが、それよりおいしい豆腐を作ることはできる。僕より一段高みを目指してほしい」と期待している。

新しい店で扱っているのは今は寄せ豆腐だけだが、今後は絹ごし豆腐や油揚げなど、ラインナップを増やしていきたいと意気込む。夏には中にからしをいれた豆腐も加える構想だ。

63歳で再出発した原田さんは、「鍋を持って買いに来るような昔ながらの豆腐店のような感じにしたい、地域の人のコミュニケーションの場となって時代をさかのぼるような店になればいい」と目を輝かせた。

(東海テレビ)