“特権で踏み倒し”は155カ国中、88カ国
国内で駐車違反した外国の外交官ナンバー車が、ウィーン条約に基づく外交特権を背景に放置違反金を踏み倒していることをFNNが暴いた問題で、国別の全リスト(警察庁まとめ)を情報公開請求で入手した。
2019年度に時効を迎えた不納欠損件数(踏み倒し)は計2736件に上り、日本に大使館を置く155カ国のうち半数超の88カ国によるものだった。
最多はロシアの1101件、2番目は中国の416件で、両国で全体の55%を占めた。
この記事の画像(4枚)地域では旧ソ連諸国と中東が多数
地域としては、3位のザフスタンなど「旧ソ連諸国」と、5位のサウジアラビアなど「中東」の国の多さが目立った。
G7では仏が最多も“紳士の国”はゼロ
G7=先進7カ国では、フランスが39件と最多だった一方、イギリスは0件で“紳士の国”を体現した形。
アメリカは国内最大級の大使館を持つが、10件にとどまった。
この問題は国会でも取り上げられ、外務省は踏み倒しが多い国の大使館幹部を呼び出して、国内法令の順守を要請するなど対策を講じているが、実効性は担保されていない。
今回、踏み倒しが8番目に多かったハンガリーの大使館が、取材に対し“踏み倒しをやめた”ことを明かすなど一部では改善の動きもみられるが、各国による踏み倒しは依然多発しているとみられる。
今回の「国名の開示」が、外交特権悪用の「抑止」に繋がることに期待したい。
(執筆:社会部 知野雄介)