農家の数減少…ラジオで「農業」を発信

毎週火曜日の夜、広島・東広島市のラジオ局で放送される番組。ここで熱く語られているのは農業の未来。

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東広島市は県内のほぼ中央に位置し、稲作を中心とした県内有数の穀倉地帯。しかし、年々、農家の数は減少傾向にあり、2005年から2015年の10年間で36%減少した。

そんな東広島で2020年9月にスタートした番組。
地元にゆかりのある4人のメンバーが制作している。

リーダー的存在の岸保宏さん。

東広島市の会計事務所で仕事をする傍ら、2020年、農業会計学の博士号を取得。大学で講義することもある中で、会計学から見た農業の未来に不安を感じている。

農学博士・岸保宏さん:
農業会計という分野では、まだまだ未熟なところが多いと思うので、まだ事業というものに達していないところが多いと思う

地元で広告代理店を経営する最年長の麻尾康二さん。農業の変化を誰よりも感じている。

中嶋直哉さんは行政書士。

福富にある事務所は空き家の古民家を改装した。隣には地元の人が集まる集会所を開いている。

地域起こし隊の活動がきっかけで、農業に興味を持った中嶋さん。その将来に危機感を感じている。

行政書士 なかしま事務所・中嶋直哉さん:
空き家とか耕作放棄地というものに興味を持つようになりました。耕作放棄地というのも、結局、使い手となる農家が増えなければ減っていかないので、農家を増やすということは重要だなと思い、その応援というものを(仕事の)ひとつの柱としてさせてもらっています

メンバーの中で唯一、農家を目指す鈴光洋彦さん。

現役時代は各クラスで11回優勝するなど活躍したが、2019年、けがで選手生活を断念。故郷、東広島に戻ってきた。トレーニングジムを経営する傍ら、2021年から農業を始める。

クレシア・鈴光洋彦社長:
農業というものは見て(わかる通り)どんどん過疎。耕作放棄地も出てきて、誰がやるんだとなって、やるなら、じゃあ、やろうと…。今、教えてくれる人がいる間に伝えていく。誰かが教えて、誰かを教える。その間の人がいなくなったら、もう(農業は)伝わらないので、そこの1人になれたら、僕もいいかなと思って、(農業を)始めてみました。初めてのことづくしで、正直、勉強しかないです

ラジオで情報と農家をつなぐ

仕事も年齢も違う4人が農業の未来でつながった。彼らが始めたのは「農業の発信」。

行政書士 なかしま事務所・中嶋直哉さん:
農業を支える仕組みとか制度とか情報というものはたくさんあるのですが、なかなかうまく農業者にそれがつながっていないというのを感じた。その情報と農家をつなぐ、そのうえで農家の経営をより良く持っていく、そのお手伝いがしたいなと思って…

クレシア・鈴光洋彦社長:
農家の人がどんなことをやっているかを知ってもらうことが大事かなと思って、今、動き始めたところですね。ラジオだったりSNSだったり、できることは全部やってみて、どれか当たる。当たらなくても次をやる。どんどん動いてみるのが若い力かなと思っています

番組では農業とつながるさまざまなジャンルからゲストを招き、農業について語り合う。

農学博士・岸保宏さん:
ラジオに出てくださっている方から少しずつ広がっていって、勉強会をやったり、体験をやったり、いろんな可能性が出てくると思う。今までと違うつながりができてくるのではないか

ゲストに石破茂議員

番組スタートから4カ月。メンバーには、どうしても出演してほしいゲストがいた。
衆議院議員・石破茂さん。

防衛大臣や自民党幹事長、政調会長を歴任。平成20年には農林水産大臣を務めた大物政治家。
彼らの小さな番組に出演してくれるのだろうか。

石破茂衆議院議員:
テレビでも新聞でもそうですけど、取材というか出演というか、そこの町だけで発行している雑誌とか、ああいうのも、よほどのことがない限り断らないのです

石破議員の出演が実現した。コロナ禍で電話でのリモート出演だが、本番前はいつも以上の緊張感が。そして本番。

農学博士・岸保宏さん:
ご紹介します。衆議院議員、石破茂先生です

石破茂衆議院議員:
先生でもないが…

農学博士・岸保宏さん:
石破さんでよろしいでしょうか

時間とともに番組は熱を帯びていく。

農学博士・岸保宏さん:
2009年の時に石破さんが提唱された地域マネジメント法人。それって今どのような感じで思われていますか?

石破茂衆議院議員:
結局、あんまり実を結ばなかったですよね。広島がこう変わるということが日本がこう変わるというモデルになるはず

緊張の24分間。番組は無事終了した。
出演した石破議員のコメントには、メンバーに対してのエールも込められていた。

石破茂衆議院議員:
久しぶりに農業の話をまとめてさせていただいたので、新鮮な感じがありましたね。広島というと広島市だけが思い浮かぶところがあるけれども、庄原にしても実は中山間地域じゃないですか。その広島の人たちに日本の縮図たる広島で日本のあるべき姿を構築していくって、すごく意味のあることじゃないかなということを言いたかった

農業に挑戦…「実体験を発信できたら」

ひと仕事終え、次は何をやるのか。

農学博士・岸保宏さん:
鈴光さんが来年から農業、走りますからね。今年から走るから追いかけてみたいという感じも持っています

行政書士 なかしま事務所・中嶋直哉さん:
新たな担い手ですよね

アサオアドプランニング・麻尾康二社長:
その実体験を通じたものを、これを言葉にして発信できたらいいかもしれないね

4人のメンバーが始めた農業の未来への種まきは今始まったばかり。
きょうも広島の真ん中で彼らは農業を発信していく。

(テレビ新広島)