「5歳以下には豆を食べさせないで」
「鬼は外、福は内」という掛け声とともに豆をまく「節分」。
今年は例年とは異なり、2月2日となるが、節分を前に消費者庁が、「5歳以下の子どもには豆を食べさせないで」と注意を呼びかけている。
同庁によると、2010年12月から2020年12月末までに、医療機関から寄せられた情報のうち、14歳以下の子どもの食品による、「窒息」や誤って気管などに入ってしまう「誤えん」の事故が164件あったという。
このうち、5歳以下の事故が141件で、全体の86%を占めている。
その原因となった食品は、「菓子」が最も多く61件で、次いで「豆・ナッツ類」の31件だった。
こうした状況も受け、「豆やナッツ類など、硬くてかみ砕く必要のある食品は、5歳以下の子どもには食べさせないでください」としている。
消費者庁によると、乳幼児は、食品をかみ砕く力や、飲み込む力が未発達なため、豆やナッツ類で窒息することがあり、大変危険。
特に節分の豆は、乾燥していて軽いことから、飲み込む準備ができていないときに、のどに落ちたり、息を吸ったときに不意にのどに移動して、のどに詰まることがあるのだという。
また、小さく砕いた場合でも、気管に⼊りこんでしまうと、肺炎や気管⽀炎になるリスクがあるとのことだ。
そして、窒息・誤嚥事故防止のために注意すべきことを挙げている。
・食べているときは、姿勢をよくし、⾷べることに集中させましょう。物を⼝に⼊れたままで、⾛ったり、笑ったり、泣いたり、声を出したりすると、誤って吸引し、窒息・誤嚥するリスクがあります。
・節分の豆まきは、個包装されたものを使用するなど工夫して行い、子どもが拾って口に入れないように、後片付けを徹底しましょう。
なお消費者庁は、これまでも節分の前に同様の呼びかけをしてきたが、今年はこれまでとは異なる点がある。それは年齢だ。
これまで「豆やナッツ類は3歳頃までは食べさせないようにしましょう」と呼びかけていたのが、今年は「5歳以下の子どもには食べさせないで」に変わり、年齢が引き上げられたのだ。
今年、注意喚起の対象となる年齢を引き上げたのはなぜなのか?消費者庁・消費者安全課の担当者に話を聞いた。
「3歳頃まで」を「5歳以下」に引き上げた理由
――これまでは「3歳頃まで」。それを今年、「5歳以下」と年齢を引き下げたのはなぜ?
昨年、島根県松江市のこども園で、4歳の子どもが豆をのどに詰まらせ、亡くなる事故が起きました。これをきっかけに、シミュレーションを行った結果、豆の形状のものが子どもの食べ方によって、のどに詰まりやすいことが分かりました。
たとえば、口に含んだまま走ったり、寝転んだり、という食べ方です。また、日本小児科学会のHPにも「豆は5歳以下には与えないで」という記載がありました。
さらに、今回のシミュレーションを監修した、武蔵野赤十字病院の道脇幸博医師の意見も踏まえ、年齢を「5歳以下」に引き上げました。
「5歳以下の子どもには豆を食べさせない」。繰り返しになるが、これが、窒息・誤嚥事故を防ぐための最善の方法だ。
そして「もし、子どもののどに豆が詰まった」場合については、消費者庁は「すぐに救急要請し、指示を仰いでください」としている。
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