1月特集は「コロナで変わる家選び」。

2020年は新型コロナウイルスの影響で、働き方や余暇の過ごし方なども変化した。そのような中で、賃貸物件にお住まいの皆さんは今の住居に満足しているだろうか。

外出する機会が減ったり、テレワークを経験したりする中で、「こんな家に住みたい」という希望が出てきた人もいるはずだ。とはいえ、引っ越しには諸費用もかかるので、転居した後に後悔しないような物件と出会いたいところ。

住まいの希望も変わってきたはず(画像はイメージ)
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そこで今回は、住宅・不動産分野の専門家である、住宅ジャーナリストの山下和之さんに、コロナ禍での賃貸物件選びで重視すべきポイントや注意点を伺った。

従来の「概念」にとらわれず探すべき

ーーまず、コロナ禍での賃貸物件探しはどう考えるべき?

家賃は今よりも少し低めに設定していいと思います。コロナ禍で収入が不安定になることも考えられますし、働き方の多様化で割安な物件を見つけやすくもなっています。

例えば、テレワークで週に1日程度の出社なら、物件から最寄り駅の距離が遠かったり、通勤時間が長くても我慢はできると思います。月1度程度の出社でいいのなら、地方に住んでみるのもありだと思います。こうした条件だと安く、過ごしやすい物件も出てくるので、従来の概念にとらわれないで探してみてはいかがでしょうか。


ーーテレワークの観点で重視すべきことは?

同じ部屋にこもりきりだと仕事のオン・オフが難しいですし、精神衛生的につらいので、ワークスペースがあるのが望ましいです。単身者向けの物件だとワンルームが多いので、その場合は室内の広さを重視してはいかがでしょう。広ければ、間仕切りなどで簡易的な空間も作れます。

また、ウオークインクローゼットがある物件を選ぶ方法もあります。電源やwifi環境などを用意する必要がありますが、うまく活用すれば仕事場にもなります。家賃は少し高めになるかもしれませんが、最近だと居住者用のコワーキングスペースがある物件もあります。

部屋が広ければ簡易的な作業空間も作りやすい(画像はイメージ)

ーー感染予防の観点で重視すべきことは?

エレベーターや共用廊下など、他人との接触機会が少なそうな物件を選ぶこと
でしょうか。個人的には、高階層より低階層の物件のほうが安心だと思います。高階層だと移動でエレベーターを使いますが、乗客が多かったり、マスクをしていない人が乗る可能性もあります。家賃のことを考えても、低階層で小規模な物件が現実的だと思います。

エレベーターを利用したくない人もいるかもしれない(画像はイメージ)

在宅の生活音は意外な近所迷惑にも

ーー物件の構造などで重視したいところは?

在宅時間が長くなったり、テレワークで室内から電話すると、生活音が意外な近所迷惑になることも
あります。住宅の構造だと鉄筋コンクリートが望ましいですね。特に木造とでは、周囲への音の伝わりやすさがかなり違います。

このほかだと、物件の断熱性や省エネでしょうか。在宅時間が長くなるので夏冬の電気代も違ってくるでしょうし、熱中症やヒートショックなどの予防にもつながると思います。


ーー備わっているといい設備などはある?

家賃が少し高額にはなりますが、宅配ボックスやオートロックがあるといいですね。他人との接触機会を減らせるという点でも、安全・安心につながるのではないでしょうか。オートロックは非接触型のキーであれば、より安心感が高まると思います。

宅配ボックスは他人と直接接触する機会を減らせる(画像はイメージ)

ーー物件周辺の環境で重視したいところは?

ライフスタイル次第ですが、テレワークをしているなら近くにコンビニはあるか、食品などの配達サービスの範囲内かは確認しておきたいですね。今は駅から少し離れると、食事できるところも少なくなっています。また、最寄り駅の近くにコワーキングスペースがあるなど、時と場合によって、外でじっくり仕事ができる環境があってもいいと思います。

最近は物件を直接見ないで決める人もいますが、個人的にはおすすめしません。物件自体のことはわかったとしても、周辺の実態は訪れないと分からないことが多いです。

デリバリーサービスの配達範囲内かも確認したい(画像はイメージ)

周辺の環境は曜日や時間帯で変わる

ーー物件の内覧時に確認したほうがいいことは?

会社としてのコロナへの姿勢は扱う物件にも影響してくるので、不動産業者が感染対策をしているかどうかは、確認していいと思います。また、今は外出しにくい環境ですが、できれば最寄り駅から物件までのルートを曜日や時間をずらして、再度訪れてほしいですね。特に駅前周辺は、曜日や時間帯で人や車両の交通量なども、全く違ってきたりします。

周辺の環境は曜日や時間帯によっても変わる(画像はイメージ)

ーー最後に、コロナ禍で引っ越しを考えている人にアドバイスを。

例年だと、3月後半から引っ越しが集中しますが、この時期は忙しい分、サービスも低下しがちです。1台のトラックが1日に2~3件を回ることもあります。国土交通省では、引っ越しの混雑予想などをウェブサイトで公開しているので、入学・転勤で外せないという人以外は、引っ越しの時期を分散してもいいかもしれません。


働き方が多様化したことで、物件選びの幅は広がったようだ。これから賃貸物件を探すときは、テレワークに集中できる空間を作れるか、生活音が周囲の迷惑にならないかなどを、チェックしてみるといいかもしれない。

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