脳出血という大病を患い、一命をとりとめた男性が懸命のリハビリにより社会復帰を果たし、同じ境遇の人々に少しでも勇気を与えたいと動いている。

右手だけで爪を切り、孫の手を使いコンタクトレンズを装着しているのは、左半身に麻痺が残る下地洋也さん(34)。

脳出血を患いながらも社会復帰を果たした下地さん
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下地さんは2020年5月、突然 体に異変を感じ病院へ救急搬送された。

下地洋也さん:
こういう風に話してる時にろれつが回ってなかったらしくて、それでちょっと「下地さんおかしいんじゃないの」っていうことから

診断の結果、脳の血管が破れる脳出血が確認され、すぐに集中治療室での治療が始まった。

「もう人生楽しくない...」落ち込む下地さんをサポートしてくれた仲間たち

下地洋也さん:
聞いた話ですけど、生きるか死ぬかっていうぐらいな感じだったらしくて

一命は取り留めたものの、下地さんの意識が戻ったのは病院に運ばれてから4日後。
意識を取り戻したものの脳からの出血が多く、後遺症で左半身の麻痺が残った状態になった。

下地洋也さん:
(病院では)起きて目覚めて、動かないのが分かった瞬間にショックすぎて、これから人生どうなるんだろうって。もう人生楽しくない、どうやって死のうかなと思ってた時もあったんですけど

脳出血を患いながらも社会復帰を果たした下地さん

以前と様変わりした自分の体に対し落ち込んでいた下地さんを、“前へ前へ”と切り替えさせてくれたのは、友人やリハビリを共にする仲間からの声かけだった。

下地洋也さん:
友人がお見舞いに来てくれた時に、色紙をもらったりとか、(リハビリ仲間が)朝5時に私を起こしに来て、「下地くん一緒にリハビリしよう」みたいな感じで言ってくれる人もいました。「あんた一人だろ。寂しいんじゃないか。俺の部屋に後でおいでよ」と言ってくれたんですよ

落ち込む下地さんを励まそうと仲間が送ってくれた色紙

リハビリの中で芽生えた気持ちの変化

周囲からのサポートがとても励みになったと話す下地さん。
「試練は乗り越えられる人にしか訪れない」という知人からかけられた言葉に突き動かされ、リハビリに励むことで、少しずつ回復の兆しを見せる中、気持ちにも変化が出てきた。

下地洋也さん:
私も声かけてもらって助かったから、逆に自分も良くなったから人に声かけようって。「ご飯ちゃんと食べてますか?」とか聞くようになったりとか。喋れない方もいるので、喋れない方はひたすら手を握って「大丈夫だよ、大丈夫だよ」っていう感じとか

脳出血を患いながらも社会復帰を果たした下地さん

同じ境遇に立つ人を今度は自分が支える番だとして、積極的に声をかけ一緒にリハビリに励んだ。
下地さんのサポートで母親が助けられたと話すのは照屋潤子さん。
照屋さんの母親は脳梗塞で倒れ、下地さんと同じ施設でリハビリをしていた。

照屋潤子さん:
(母親は)最初の頃は落ち込んでて、中々食事とかリハビリとかそれを拒否して、心ちょっと閉ざしていたんですけど、いつもその母に声をかけてくれて、握手したり手を置いてくれたり、本当に積極的に声かけてくれてたのが下地さんだったんですね。(他にも)同じ境遇の方がいて、そういう方たちには本当に下地さんの存在っていうのは、やっぱり大きな励ましとか、力になるんじゃないかなと思います

脳梗塞で倒れた母を積極的に励ましてくれたのは下地さんだったと話す照屋潤子さん

後遺症というハンデを背負ったことを理由に何もしないのではなく、同じ境遇の人々の希望の光になれればと、下地さんは退院後に社会復帰を目指した。

同じ境遇に立つ人の“希望の光“へ…

下地洋也さん:
できないっていうのは、言いたくないし言われたくないので…こうなったからできないよねと言われたくないし、自分も思いたくないので。こういう人がこうなったよね、みたいな事例が少なくて。私はその一事例でもいいので、なりたいなって思いがあって

下地さんは、病気を発症する前に勤めていた太陽光発電設備を販売する会社で、体調面を考慮してもらいながら勤務している。

脳出血を患いながらも社会復帰を果たした下地さん

下地洋也さん:
シミュレーションと見積書つくってますね。今日は今からお客さんのところに行きます

後遺症は残ったものの、リハビリの成果で自動車学校や公安委員会の試験も通り、一人で運転して営業にもでかける。

脳出血を患いながらも社会復帰を果たした下地さん

川崎さんご夫婦:
凄い人柄にひかれました。お客さんのことを考えていることですかね。その時に凄い感じが良かったので、じゃあここと契約しようみたいな

脳出血を患いながらも社会復帰を果たした下地さん

社会復帰を果たした下地さんは新たな目標として、「同じ境遇に立つ人の助けを自分がしていきたい」と、今の仕事とは別に、社会復帰へ向けた支援活動を担う会社を設立したいと動いている。

脳出血を患いながらも社会復帰を果たした下地さん

下地洋也さん:
やっぱり退院した後が大変にしているみたいなので…たとえば仕事が切られたりとかっていう姿を見てると、私は悔しくてたまらなくて、何とかしてあげたいなっていう気持ちになっていたので。
ハローワークに行って、「片麻痺の人でもどんな仕事ができますか」とかハローワークに相談したりとか、メンタルも弱ってる人たちもいたりして、それをプラスに持って行く方法とか。私が直に体験したことをせっかく喋れるようになったので、これを活かして仕事したいなって思ったので

下地さんは、同じ境遇の人々が活躍できる社会に向けて、一歩一歩、歩みを進めている。

 (沖縄テレビ)